第3話 放課後の女子会
さて、やってきましたファミレスに。
放課後といっても、学校は午前中に終わったので昼食も兼ねている女子会が始まろうとしている。
「それじゃあカンパーイ!」
「「「カンパーイ!!」」」
昼時であるにも関わらずすんなり席を確保できた上、注文まですんなり済んでしまった。
ドリンクバーでジュースを取ってくるや否や、
花道さんが早速乾杯の音頭を取る。
5人なので、座席は2、3人に分かれる。
俺は2人の方だ。なんと、隣はあのグラビアモデルだ!
気を抜いたら胸を凝視してしまいそうだ。
「じゃあ改めて挨拶しよっ。そうだ!ニックネームで呼びあった方が親しみやすいし、ニックネームも一緒に紹介しよう!」
「いいね」
俺の前の3人は、花道さんを真ん中にして座っている。俺から見て彼女の右に座る黒髪の子が花道さんの提案に賛同した。
「じゃあ時計回りにやろう。スタート!」
花道さんが俺から見て左を向いて自己紹介を促し、その子が頷いて自己紹介を始めた。
「ワタクシは
微笑みながら話す彼女を前に、俺は心の中で彼女と握手を交わしていた。
前世は俺もアメリカ人とのハーフだったんだ。まったく、思わぬ出会いだな。
長く、ウェーブのかかった金髪は地毛なのだろう。とても口調が丁寧な子だ。
「じゃあ次はわたしね。花道薫。花とか、花ちゃんとかで呼んでね。音楽が好きで実はピアノとかバイオリンとか出来ます!」
明るい活発系キャラだと思ってたけど芸術にも手が伸びていたとは。流石っす花ちゃん!
「ミカは…
「へぇ、みんなピアノ出来るんだ。アタシも出来るんだよねー。アタシは
ザ黒髪清楚系で落ち着いた感じのミカと、朗らかに微笑みながら喋る茶髪ボブのポム。
なんでみんなピアノ出来るんだろう?
何はともあれ次は俺の番だ。
「えっと、藤宮春です。シュンって呼んでくれるといいかな。私は楽器とかできないけど、最近はランニングにハマってます」
みんなよく軽い感じで話せるな。
やっぱり初対面の人と話そうとすると少し緊張してしまう。
けどまあ、みんな微笑んでくれてるし悪い印象は与えてないだろう。
「よーし、みんな自己紹介終わったことだし、食べながら色々話そーう!!」
「「「おおーー!」」」
みんなノリいいな。俺もノレるようにならないとハブられちゃうかもしれない!
早くこの感じに慣れよう。
「あ、ポテトきた。ちょうどいいね」
タイミングよく猫型ロボットが山盛りのポテトを2皿運んできた。
ポムがそれをテーブルに並べ、自然な流れで会話が始まる。
「それにしてもみんな可愛いねぇ〜。やっぱ女子校とは言え可愛くありたいよね」
「男子がいなくてもjkたるもの身だしなみには気をつけるよ。あと、花も十分可愛いよ」
「ありがとポム」
なんだろう、このとても初対面とは思えない距離感は。
もしかしてこの人たちのコミュ力ってクソ高い?
どうしよう、俺はこんなにフレンドリーにいけないぞ。
そんな風に困っている俺には構わず、花はポテトを食べながらみんなに尋ねる。
「そーいえば、みんな部活はもう決めた?」
「部活ですか…。確か明後日から部活動の仮入部でしたね」
「うわぁ全然考えてねぇ〜。どうしようかな、やっぱ吹奏楽かな〜」
「ミカも吹奏楽にしようかな…」
そうか、部活か…。もうそんなことも考えないといけないのか。
前世はずっと陸上部だったし、今度は水泳でもやってみようかな。
というか、会話に入るタイミングがねぇ。
なぜか息ピッタリだ。
自分が場違いな気がしてくる。
そう思っていた時だ。
「シュンはどこに入ろうか決めているんですか?」
救いの手をアリスが差し伸べてくれた。
アリス、好き♡
「うーん、中学では陸上部入ってたし、趣向を変えて水泳でもやろうかな」
「えっ、水泳部かぁ…」
「ん? なんか変だった?」
隣のポムが眉間に皺を寄せたのでマズイことでも言ったかと思ったけど、次の瞬間、ポムはテーブルに肘をついて俺の方を向き、ニヤリと笑った。
「あの部活はねぇ、イタズラ好きな子が多いからシュンみたいな子が入ったら危ないかもよ〜」
「い、イタズラ…?」
女子校で行われるイタズラ…!?
もしかしてソーユーこと!?
正直興味があります。
…いや、虐めって可能性もあるか。
やっぱり怖いかも。
「あー、その話ね。ミカも聞いたことある。
去年も問題になってたよね。部活としての成績が優秀だから活動停止とかにはならなかったみたいだけど」
「2人ともなんでそんな話知ってるの?」
「実はね、アタシたち姉がいて、ミカの姉とアタシの姉で仲良いの。だからアタシらは前から知り合いだし、上の学年の話とかも時々聞くんだよ」
「そうだったんだ。ちなみにイタズラって何されるの…?」
「おやおや〜、シュンちゃん興味がおありですか〜?」
「いやいや、そーゆーことじゃ」
「照れちゃって〜。もしかしてむっつりなのかシュンちゃんよ〜」
「そーゆーのじゃないから。やめてよ花」
「どうだかね〜」
くそっ、実は変態だとか思われたら大変じゃないか!
発言には気をつけないといけないかもな。
花もポムもニヤニヤしながら俺のことを見てくる。アリスとミカの視線からは何を考えているのか読み取れない。
こんな時は一旦避難だ。
「ちょっと私トイレいってくるから」
「逃げるのか〜?」
「逃げるんだなー?」
「違うから!」
花とポムから攻撃を喰らう。
絶対勘違いされてるやつじゃん。
いや、勘違いでもないかもしれないけど…。
とにかく、どーゆーキャラにするかをもう少し考えてからあの場に戻ることにしよう。
* * * * * *
シュンが抜けた後、残された4人は顔を合わせて話し合いを続けていた。
話し合いというよりも、会議に近いものを。
「さて、結構順調だね」
最初に口を開いたのはポムだ。正面のミカが真面目な顔をして答える。
「少なくとも全員がグルだとは思われてないでしょ。ミカとあんたが知り合いって伝えたのは、まさか全員が知り合いだとは勘付かれないようにするためでしょ?」
「分かってるねぇミカ。その通り」
「そうだったのか〜。策士だね2人とも。シュンはまだ緊張してるみたいだし、もう少し絡んで緊張をほぐしてあげようよ」
「そうですね。花の言う通りです。それにしても…」
アリスが言い切るまでもなく、その場の4人には共通認識が出来上がってた。
「「「シュン、可愛いよね〜」」」
「磨けば光るというか、関わったら輝いてくれそうだったから親睦会を装ってシュンに接触を計ったわけだけど、ここまでシュンの可能性を引き出せるとは思わなかったよ〜」
「ほんとそれ。クール系かと思いきやちょっとむっつりで恥ずかしがり屋なところとか、頑張ってアタシらと話そうとしてくれてる感じがめちゃくちゃ可愛いーー!」
「ミカよりも背高いのに、妹みたいな感じがする」
「そうですね。時々女々しい感じがギャップというか」
「「「わかるーー!!」」」
いつシュンが帰ってくるか、時々トイレの方を確認しながらも4人はシュンに対する感想を語り合い続けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます