第2話 おもしれー女

「藤宮春です。趣味はゲームとか筋トレとかイラスト描くとかアニメとかランニングとかです。よろしくお願いします」


俺も自己紹介を終え、クラスメイトの拍手に包まれながら着席する。他の人の時よりも拍手の音が大きかった気がするのだが気のせいだろうか?


…多分気のせいだな。

あんまり自意識過剰にはならないようにしないと。


俺は前世の頃から趣味が多かった。主にオタク関連のだったが。

それに加え、この体になってから運動も好きになった。

実は毎朝2キロくらいランニングしているんだ。

そのおかげか、腹筋がうっすら出てきている。そのスジを優しく撫でてみると、ちょっとエッチな気分になるのはここだけの話だ。


そして俺の後にも続く自己紹介。

面白い子が多かったので、いつか仲良くなりたいと思うばかりだった。


「——さて、みんなの自己紹介も終わったところで、今日は解散でーす。あとは自由に過ごしてね〜。あ、17時の最終下校時刻までには帰ってね〜」


あれ、もう終わりなのか。

まだ10時半とかなのに。

先生が退出すると、各々席を立ち始める。雑談を始めたり、帰ったりと人それぞれだ。

放課後に遊ぶ予定の花道さんは早速仲間集めに行ったようだし、戻ってくるまで自己紹介の振り返りでもしておこう。


特に印象的だったのは5人だ。

名前は覚えてないけど、その特徴だけは覚えている。

1人目は、カエルを20匹飼ってる子。寝る時はカエルの着ぐるみを着て寝てるとか言ってた背の小さい子だ。

2人目は、蛇のマフラーを首に巻いている子だ。いやいや、いくら校則が緩くてもここまでしていいのか? とか思ってたら先生は「ユニークなファッションですね」とか言いながら微笑んでたのでセーフなのだろう。

俺も今度サメにでも噛まれながら登校してみようかな。

3人目はめちゃくちゃアニメ声の子だ。ハキハキした発音で、しかも萌え声というかアニメ声というか、不思議と聞き入ってしまう声をした凄い子だった。

4人目は雑誌のモデルの仕事をしているという美人だ。まさか同級生に芸能人を抱えることになるとは思っていなかった。流石お嬢様学校と言われるだけはある。ちなみに校則的にもセーフらしい。無敵だろこの高校。

そして5人目。Hカップでこちらもグラビアモデルをしているという逸材だ。どうやら仕事には誇りを持っているらしく、ニコニコしながらその話をしていた。

凄く触りたい胸だった…。


そんな感じでイケメンに「ははっ。おもしれー女」って言われてそうな子がいっぱいいたわけだけど、果たして俺はどういう風に思われてたのか気になるな。

手応えはあったけど、もしかしたら既に俺のことが嫌いな人もいるかもしれない。

…いや、だめだ。俺は女子校を支配してしまうようなカッコいい女を目指すんだ。ポジティブにいこう。みんな俺のことが気になっているに違いない!


「おーい藤宮ちゃん、行こうー!」


そんな風に座席で考えていたら、教室の扉の方から花道さんの声が聞こえてきた。そちらに目を向けてみれば、彼女の近くに3人の女子が立っていた。

ん! あれはグラビアガールじゃないか!

これは全力で楽しむしかないな。


「今行く〜」


俺は心躍らせながら席を立った。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る