20 非常識という名の非常識

非常識の空を飛ぶ

翼のない鳥が影を追いかける

規則の外にある風が

意味のない音を巻き起こし

時は止まったまま進み続ける


遠くで笑う月が

逆さまに昇る日を嘲り

空を横切る線が消えては現れる

道なき道の果てに

誰も知らない色が溢れる


常識という籠の外では

形のない物が形を成し

触れられない音が響きわたり

見えない声が耳元でささやく

「ここは誰も来ない場所、だが誰もが知っている」


非常識の地平線は

どこまでも伸び

終わりが始まり

始まりは終わりを飲み込んで

すべてが何もないところへ流れ出す


何を探すでもなく

何を失うでもなく

ただ、在るべきものが在らぬまま

非常識は笑い、泣き、消える

次の風が吹くその瞬間まで。

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