19 平和祈念像

天を裂くように伸びる手は

届かぬ未来を掴もうとし

空は無音の海となりて

深く、ただ広がりゆく。


大地は静寂を纏い

重さを持たぬ過去を背負う。

無数の足音が、消え去った風景を

焼け残った影のように彷徨い、

誰も語らぬ記憶に触れることはない。


祈りは声なき音楽、

風に散らばり消えゆく旋律。

瞳は天を見つめつつも、

その瞳の中に広がるのは

形なき希望か、あるいは夢の残像か。


石に刻まれた願いは、

静かに語り続けるも

聞く耳を持たぬ者の列に消え、

その意味すら霧の中に消え失せる。


空に浮かぶ雲は言葉を忘れ

鳥たちは沈黙の歌を奏でる。

それでもなお、

この祈りは途絶えることなく、

無限の輪を描くように続いていく。


ただ一つの像が、

時の狭間で立ち続け

無名の夢を、名もなき未来へと届けんと

その手を天へかざす。

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