15 灰色のとぐろ巻く機械人形
灰色のとぐろ巻く機械人形
その目は光ることなく、ただ空を仰ぐ
歯車の響きは遠く、どこまでも続く夢の音
無限に重なり、無限に消えていく螺旋の軌跡
錆びついた腕が、空に向かって伸びる
触れることなきものを掴もうとするかのように
冷たく無機質な指先が、世界の境界を撫でる
だが、そこに何もない
ただ、無音の静寂が彼女を包む
とぐろ巻く線は、機械の内側に渦巻き
それは思考か、あるいは感情か
灰色の回路を駆け巡る微弱な電流
心無き機械の中に、かつての記憶が眠るのか
人形は踊らない
だが、踊っているのだ
その姿は静止しながらも、世界の果てで踊り続ける
不確かで、形のない舞踏
見えぬ風が髪を揺らし、見えぬ意志が体を動かす
灰色の空が広がる中で
ただ一つの存在
無限のとぐろ、無限の静寂
彼女は何を求めているのだろう
彼女は何を失っているのだろう
答えは誰も知らない
機械人形のとぐろは、ただ巻き続ける
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます