12 忘れられし敬老


静かなる鐘の音が、

誰も知らぬ時空の狭間で鳴り響く。

忘れ去られた手の温もり、

過ぎ去る風が髪をそっと揺らし、

語らぬ言葉が空に溶ける。


かつて燃えていた灯火、

今は灰となり、

積み上げられた記憶の塔の中、

ひとつの声が遠くからささやく。


存在を問う声も、

今は木々のざわめきの中に消え、

折れた枝の影に宿る光の跡、

消えかけた足跡が静かに舞い上がる。


過去の響きが鳴り止むことなく、

それは無限の中で静かに回る。

深い淵に沈む石のように、

忘却の湖に落ちていく。


だがその水面に浮かぶ影、

遥かなる天を仰ぎ、

名もなき時間に呼ばれる日を待つ。

心の奥底に沈む想い、

沈黙がすべてを包み込む。


そして、

見えぬ手がそっと握り返す。

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