### 第12話:新たな命の誕生
時が過ぎ、サクラのお腹はどんどん大きくな
り、出産予定日が近づいてきた。レンとサクラ
は、新しい家族を迎える準備を進める中で、お
互いの絆をさらに深めていた。レンは、仕事が
忙しい中でも、サクラのそばにいる時間を大切
にし、彼女が安心して出産に臨めるよう、心か
らのサポートを続けていた。
*
そして、ついにその日が訪れた。
### 陣痛の始まり
ある早朝、サクラはベッドで横になっている
と、突然強い痛みを感じた。眠りから覚めた瞬
間、彼女は自分が陣痛を迎えたことに気づい
た。
「レンさん…」
サクラは少し息を切らしながら、隣で眠ってい
たレンに声をかけた。
*
レンはすぐに目を覚まし、サクラの表情を見て
状況を察した。
「サクラさん、いよいよなんだね。大丈夫、す
ぐに病院へ行こう。」
レンは冷静さを保ちながらも、内心では興奮と
緊張が入り混じった感情を感じていた。彼は急
いで病院に連絡し、サクラを車に乗せて病院へ
向かった。
### 病院での出産
病院に到着すると、医師と看護師がサクラをす
ぐに分娩室へと案内した。レンは彼女の手を握
りしめながら、何度も
「大丈夫だよ、君ならできる」
と励ました。
分娩室に入ると、サクラは痛みに耐えながら
も、レンの存在に支えられていた。彼女の額に
は汗がにじみ、息が荒くなっていたが、レンの
手を握ることで少しでも安心感を得ていた。
「サクラさん、深呼吸して…リラックスして、
私たちがそばにいるからね。」
医師が優しく声をかけた。
レンもまた、サクラの耳元で
「僕がそばにいるよ。君が頑張ってくれている
から、僕も一緒に頑張るよ」
と囁いた。
*
サクラは必死に呼吸を整え、医師の指示に従い
ながら、赤ちゃんを産むための力を振り絞っ
た。時間が経つごとに痛みは増していったが、
彼女は何度も自分に
「この子のために頑張らなきゃ」
と言い聞かせた。
### 新しい命の誕生
数時間の格闘の末、ついにサクラの努力が報わ
れた。赤ちゃんの産声が分娩室に響き渡った瞬
間、サクラの目からは喜びの涙が溢れた。
「おめでとうございます、元気な男の子です。」
医師が赤ちゃんを優しく抱き上げ、サクラとレ
ンに見せた。
*
サクラは疲れ切っていたが、赤ちゃんの姿を見
た瞬間、すべての苦労が報われたような気がし
た。彼女は赤ちゃんを腕に抱き、愛おしそうに
その小さな顔を見つめた。
「レンさん…この子が、私たちの赤ちゃん…」
サクラは感動で声を詰まらせながら、レンに微
笑みかけた。
*
レンはサクラと赤ちゃんを見つめながら、涙を
こらえきれなかった。
「サクラさん、本当にありがとう…君がこの子
を産んでくれて、僕たちは家族になったんだ
ね。」
レンはサクラの隣に座り、赤ちゃんの小さな手
をそっと触れた。赤ちゃんはその手を握り返
し、レンとサクラに新たな希望と愛をもたらし
た。
「これからは、僕たち三人で新しい人生を歩ん
でいこう。君とこの子を守っていくことが、僕
のすべてだ。」
レンは決意を込めてそう言い、サクラと赤ちゃ
んを優しく抱きしめた。
### 家族としての第一歩
退院後、レンとサクラは赤ちゃんを連れて新し
い生活を始めた。彼らはすべてが新鮮で、毎日
が驚きと喜びに満ちていた。レンは仕事と育児
を両立させるために全力を尽くし、サクラもま
た、母親としての新しい役割を楽しみながら過
ごしていた。
*
家には赤ちゃんの泣き声や笑い声が響き、二人
はその音に耳を傾けながら、ますます愛を深め
ていった。
「僕たちがこうして家族になれたことが、本当
に幸せだよ。」
レンは夜、赤ちゃんを寝かしつけた後、サクラ
にそう話しかけた。
「私も…この子とあなたがいてくれるだけで、
毎日が本当に幸せです。」
サクラは微笑みながら、レンに寄り添った。
*
こうして、レンとサクラは新しい命と共に、愛
に満ちた日々を過ごしていくこととなった。彼
らの家族の物語は、これからも続いていく。互
いに支え合い、愛し合いながら、どんな未来も
共に乗り越えていくことでしょう。
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