### 第12話:新たな命の誕生

時が過ぎ、サクラのお腹はどんどん大きくな


り、出産予定日が近づいてきた。レンとサクラ


は、新しい家族を迎える準備を進める中で、お


互いの絆をさらに深めていた。レンは、仕事が


忙しい中でも、サクラのそばにいる時間を大切


にし、彼女が安心して出産に臨めるよう、心か


らのサポートを続けていた。



そして、ついにその日が訪れた。


### 陣痛の始まり


ある早朝、サクラはベッドで横になっている


と、突然強い痛みを感じた。眠りから覚めた瞬


間、彼女は自分が陣痛を迎えたことに気づい


た。


「レンさん…」


サクラは少し息を切らしながら、隣で眠ってい


たレンに声をかけた。



レンはすぐに目を覚まし、サクラの表情を見て


状況を察した。


「サクラさん、いよいよなんだね。大丈夫、す


ぐに病院へ行こう。」


レンは冷静さを保ちながらも、内心では興奮と


緊張が入り混じった感情を感じていた。彼は急


いで病院に連絡し、サクラを車に乗せて病院へ


向かった。


### 病院での出産


病院に到着すると、医師と看護師がサクラをす


ぐに分娩室へと案内した。レンは彼女の手を握


りしめながら、何度も


「大丈夫だよ、君ならできる」


と励ました。


分娩室に入ると、サクラは痛みに耐えながら


も、レンの存在に支えられていた。彼女の額に


は汗がにじみ、息が荒くなっていたが、レンの


手を握ることで少しでも安心感を得ていた。


「サクラさん、深呼吸して…リラックスして、


私たちがそばにいるからね。」


医師が優しく声をかけた。


レンもまた、サクラの耳元で


「僕がそばにいるよ。君が頑張ってくれている


から、僕も一緒に頑張るよ」


と囁いた。



サクラは必死に呼吸を整え、医師の指示に従い


ながら、赤ちゃんを産むための力を振り絞っ


た。時間が経つごとに痛みは増していったが、


彼女は何度も自分に


「この子のために頑張らなきゃ」


と言い聞かせた。


### 新しい命の誕生


数時間の格闘の末、ついにサクラの努力が報わ


れた。赤ちゃんの産声が分娩室に響き渡った瞬


間、サクラの目からは喜びの涙が溢れた。


「おめでとうございます、元気な男の子です。」


医師が赤ちゃんを優しく抱き上げ、サクラとレ


ンに見せた。



サクラは疲れ切っていたが、赤ちゃんの姿を見


た瞬間、すべての苦労が報われたような気がし


た。彼女は赤ちゃんを腕に抱き、愛おしそうに


その小さな顔を見つめた。


「レンさん…この子が、私たちの赤ちゃん…」


サクラは感動で声を詰まらせながら、レンに微


笑みかけた。



レンはサクラと赤ちゃんを見つめながら、涙を


こらえきれなかった。


「サクラさん、本当にありがとう…君がこの子


を産んでくれて、僕たちは家族になったんだ


ね。」


レンはサクラの隣に座り、赤ちゃんの小さな手


をそっと触れた。赤ちゃんはその手を握り返


し、レンとサクラに新たな希望と愛をもたらし


た。


「これからは、僕たち三人で新しい人生を歩ん


でいこう。君とこの子を守っていくことが、僕


のすべてだ。」


レンは決意を込めてそう言い、サクラと赤ちゃ


んを優しく抱きしめた。


### 家族としての第一歩


退院後、レンとサクラは赤ちゃんを連れて新し


い生活を始めた。彼らはすべてが新鮮で、毎日


が驚きと喜びに満ちていた。レンは仕事と育児


を両立させるために全力を尽くし、サクラもま


た、母親としての新しい役割を楽しみながら過


ごしていた。



家には赤ちゃんの泣き声や笑い声が響き、二人


はその音に耳を傾けながら、ますます愛を深め


ていった。


「僕たちがこうして家族になれたことが、本当


に幸せだよ。」


レンは夜、赤ちゃんを寝かしつけた後、サクラ


にそう話しかけた。


「私も…この子とあなたがいてくれるだけで、


毎日が本当に幸せです。」


サクラは微笑みながら、レンに寄り添った。



こうして、レンとサクラは新しい命と共に、愛


に満ちた日々を過ごしていくこととなった。彼


らの家族の物語は、これからも続いていく。互


いに支え合い、愛し合いながら、どんな未来も


共に乗り越えていくことでしょう。

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