### 第7話:決断の時

レンが手術を終えた後日、サクラがまだレンの


そばで看病をしている頃、レンの事務所のマネ


ージャーが病院を訪れた。彼は真剣な表情で、


レンとサクラの病室の前に立ち、しばらく迷っ


ている様子だったが、深呼吸をしてからドアを


ノックした。


「レン、サクラさん…」


マネージャーは静かに部屋に入ると、レンがベ


ッドに横たわり、サクラが彼の手を握っている


のを見た。


「おはようございます。レンさんの様子はどうで


すか?」


マネージャーは穏やかに尋ねたが、その声には


緊張感が漂っていた。


「少しずつ良くなっています。まだ完全には回復


していませんが、きっと…」


サクラはマネージャーに微笑みかけながら答え


た。


「そうか…良かった。レン、君が無事で本当に


安心したよ。」


マネージャーは深く息を吐き出し、椅子に座っ


た。


「でも、君たちに伝えなければならないことが


ある。」


レンは弱々しく目を開け、マネージャーを見つ


めた。


「何か問題があるのか?」


マネージャーは一瞬言葉を詰まらせたが、覚悟


を決めて話し始めた。


「今回の事件が、すでにニュースで大きく報じ


られているんだ。君たちのプライバシーが守ら


れるように、事務所は最善を尽くしているが、


君たちの関係が公になったことで、今後の活動


に影響が出る可能性がある。」


その言葉に、サクラの顔が青ざめた。


「私のせいで…レンさんに迷惑をかけてしまっ


て…」


レンはサクラの手を強く握り、彼女を安心させ


るように優しく言った。


「サクラさん、君は何も悪くない。僕がこの関


係を選んだんだ。それに、君を守るためなら、


僕は何だってするよ。」


マネージャーはレンの言葉に頷きながらも、続


けた。


「もちろん、もう君たちが一緒にいることを止


めるつもりはない。ただ、事務所としては、君


たちがどうしたいのかを聞いておきたいんだ。


これからの活動や、プライベートな生活をどう


していくか、しっかり話し合う必要がある。」


レンはしばらく考え込み、サクラに目を向け


た。


「サクラさん、君はどう思う?僕たちはどうす


べきだと思う?」


サクラは一瞬迷ったが、心を決めて言った。


「私は…あなたがアイドルとして輝き続けられ


るように、何でも協力します。でも、私はあなた


と一緒にいたい。それがどんなに難しい道だと


しても、あなたを支えたい。」


レンはその言葉に深く感動し、彼女の手を握り


しめた。


「ありがとう、サクラさん。僕も君と一緒にい


るために、どんな困難でも乗り越えてみせ


る。」


マネージャーはその様子を見守り、静かに言っ


た。


「分かったよ。君たちの気持ちは伝わった。事


務所としては、できる限り君たちを支える。だ


けど、今はまず二人とも完全に回復することが


最優先だ。それから、具体的なプランを一緒に


考えていこう。」


### 回復への道


その後、レンとサクラはお互いに支え合いなが


ら、回復に向けての時間を過ごした。サクラ


は、レンが少しでも早く元気になるように、毎


日看病を続けた。レンもまた、サクラの回復を


見守りながら、少しずつ体力を取り戻していっ


た。



事件の影響でメディアからの注目が集まり、二


人のプライバシーは大きく脅かされることにな


ったが、事務所の支援とファンの温かい声援の


おかげで、二人は少しずつ平穏な日々を取り戻


しつつあった。



そして、二人が完全に回復したとき、事務所の


サポートのもとで、再びレンはアイドル活動を


再開することを決意した。サクラもまた、彼の


そばで支え続けることを誓った。


「僕たちはこれからも一緒にいる。それがどん


なに難しくても、僕たちは愛と信頼で乗り越え


ていく。」


レンはサクラにそう言い、彼女と手を取り合っ


た。



サクラは優しく微笑み、彼に応えた。


「どんな未来が待っていても、私たちならきっ


と大丈夫です。あなたと一緒なら、何も怖くな


い。」


こうして二人は、試練を乗り越えた強い絆を胸


に、新たな未来へと歩み出したのだった。


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