### 第4話:お忍びライブ参戦
### 第4話:お忍びライブ参戦
サクラとレンが交際を始めてから数か月が経
ち、二人の関係はますます深まっていた。サク
ラは、レンがどれほど一生懸命に仕事に取り組
んでいるかを理解し、彼を支えることが自分の
幸せだと感じるようになっていた。
*
ある日、レンが参加する大規模なライブが開催
されることが発表された。全国ツアーの一環
で、ファンたちが待ち望んでいたイベントだ。
サクラは、そのライブに行きたいという気持ち
を抑えられなかった。しかし、彼のファンとし
てではなく、彼の特別な存在として彼を応援し
たいという強い思いがあった。
「レンさん、今度のライブ、私も行きたいで
す。」
サクラはある日、勇気を出して彼にそう伝え
た。
「え、本当に?でも、大丈夫かな…人が多い
し、万が一誰かに気づかれたら…」
レンは少し心配そうに言った。
「心配しないで。変装して、目立たないように
するから。どうしても、あなたが頑張っている
姿をこの目で見たいんです。」
サクラの瞳には、強い決意が宿っていた。
*
レンは少し考えた後、サクラの手を握りしめて
言った。
「分かったよ、でも絶対に無理はしないで。君
がそこにいると思うと、僕もいつも以上に頑張
れる気がするよ。」
こうして、サクラはレンのライブにお忍びで参
加することになった。
### ライブ当日
ライブ当日、サクラはレンに見送られて会場へ
向かった。もちろん、二人は別々に会場入り
し、サクラは完全に変装していた。キャップに
サングラス、そしてマスクで顔を隠し、普通の
ファンの一人として紛れ込むためだ。
*
会場に到着したサクラは、周りのファンたちと
同じように興奮しながらも、心の中では特別な
感情を抱いていた。
「今日、私はファンじゃない。彼を一番近くで
支える人なんだ」
と。
*
ライブが始まると、会場は熱気に包まれ、ファ
ンたちの歓声が響き渡った。サクラもその一部
として、心から楽しんでいた。しかし、彼女の
視線は常にステージの中央に立つレンに注がれ
ていた。
*
レンはいつも以上に輝いていた。彼のパフォー
マンスは完璧で、ファンたちを魅了し続けてい
たが、その瞳の奥には、いつも以上に力強い決
意が感じられた。サクラはその姿を見て、胸が
熱くなった。
「レンさん、こんなに頑張ってるんだ…」
サクラは彼の姿に感動し、目頭が熱くなった。
*
ライブが終盤に差し掛かり、レンがMCでファン
に向けてメッセージを送る時間がやってきた。
「今日は、特別な日です。皆さんがこうして応援
してくれて、本当に感謝しています。実は、今日
は僕にとってもっと特別な理由があるんです。」
その言葉に、会場はざわめき始めた。サクラも
驚きながら、彼の言葉に耳を傾けた。
「僕にとって大切な人が、この会場に来てくれ
ています。その人がそばにいてくれるおかげで、
僕はいつもよりもっと頑張れるんです。ありがと
う。」
レンは笑顔を浮かべながら、観客席に目を向け
た。サクラはその瞬間、彼が自分に向けてメッ
セージを送っていることに気づいた。涙が頬を
伝い、彼への感謝と愛情が溢れ出した。
「レンさん…」
サクラは小さな声で彼の名前を呟いた。
### 二人だけの打ち上げ
ライブが無事に終了し、サクラは指定された場
所でレンと再会した。レンは汗をかいたまま、
疲れを見せることなく、サクラを抱きしめた。
「来てくれてありがとう、君がそこにいてくれ
たおかげで、今日は本当に特別なライブになっ
たよ。」
レンはそう言って、彼女の髪にキスをした。
「私こそ、ありがとう。レンさんの頑張りを見
て、私ももっとあなたを支えたいって思っ
た。」
サクラは涙ぐみながら答えた。
「これからも、君のことを一番大切にするよ。
だから、ずっと僕のそばにいてくれないか?」
レンは優しくサクラを見つめた。
「もちろん、ずっと一緒に…」
サクラは微笑んで答え、二人は再び抱きしめ合
った。
*
その夜、二人はレンの自宅でささやかな打ち上
げを開いた。レンの好きな料理をサクラが用意
し、二人で静かに過ごすその時間が、彼らにと
って何よりも特別なものだった。
*
甘いワインを少しだけ口にしたレンは、サクラ
の肩に頭を乗せ、心地よい眠気に包まれてい
た。
「今日のライブ、君がいてくれて本当に嬉しかっ
た…ありがとう、サクラさん。」
レンは目を閉じながら、優しく囁いた。
「私も、レンさんのことがますます好きになり
ました。これからも、ずっと一緒に頑張りましょうね。」
サクラは彼の髪を優しく撫でながら、微笑んで
答えた。
*
二人はそのまま、甘く穏やかな時間を共有し、
静かに夜が更けていった。
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