最終話:糞転がしの逆襲version
### 最終章
カズオは息子との激しい戦いの中で、異世界で培ったすべての力を振り絞り、最後の手段を考えていた。彼が持つ唯一の武器、それは異世界での糞転がしとしての能力だった。かつてはこの力で魔物たちを打ち破り、世界を救った。しかし、今目の前にいるのは愛する息子。その葛藤の中で、カズオは決断を下した。
「息子よ、これは俺が最後に使える切り札だ。どうか、これで目を覚ましてくれ…!」
カズオは全力で糞を転がし始めた。彼が今転がしている糞は、異世界で培ったすべての魔力が込められたものだった。その糞は光り輝き、次第に大きく膨らんでいった。カズオの体はその糞と一体化し、巨大な力が彼を包み込んだ。
「何だ!?この力は…」
息子は驚きの表情で父親を見つめた。彼の手にはまだ駆除剤が握られていたが、その攻撃はもう通用しないと直感した。カズオの放つ圧倒的な力に、息子は一瞬身動きが取れなくなった。
「これが…父さんの力なのか?」
カズオは迷いを振り払うように、糞を息子に向かって投げつけた。その瞬間、巨大な糞が空を切り裂き、息子の目の前に迫った。息子は反射的に防御の構えを取ったが、糞はまるで意思を持っているかのように、息子の動きを読んでいた。
「俺が…負けるのか!?」
息子は必死に回避しようとしたが、カズオの攻撃はそれを許さなかった。糞が彼に命中した瞬間、衝撃とともに強烈な魔力が解放された。糞は息子を包み込み、その力は彼の全身を浄化するかのように広がっていった。
「うわあああああっ!」
息子は声を上げ、その場に倒れ込んだ。しかし、カズオの攻撃には痛みがなく、むしろその糞が彼の体を浄化し、守るような感覚が広がっていった。
「これが…父さんの糞転がしとしての力…?」
息子は目を開け、その力が彼を攻撃するものではなく、救おうとしていることに気づいた。糞は徐々に光を放ち、息子の体から疲労と傷を取り除いていった。
「父さん…お前は一体…」
息子が言葉を発しようとしたその時、カズオの声が彼の心に直接響いた。
「息子よ、俺はお前を傷つけたくなかった。ただ、お前が真実に気づくことを望んでいたんだ。」
カズオの声は穏やかで、息子の心を包み込むように響いた。その瞬間、息子はすべてを悟った。目の前にいる糞転がしが、かつて自分を守り育ててくれた父親であることを。
「父さん…!」
息子は涙を流しながら、父親に向かって手を伸ばした。しかし、カズオは静かにその手を受け取らず、少し距離を置いていた。
「もういいんだ。お前はこの世界を守るために戦っている。それは誇り高いことだ。だが、俺たち親子の宿命はここで終わらせよう。」
カズオは糞の中に自らの意志を込め、息子に向かって再び転がし始めた。しかし今度は、それが彼を攻撃するためではなく、守るためのものだった。
「これで、お前はさらに強くなれる。」
カズオは最後の力を振り絞り、息子に向けて糞を押し続けた。その糞が息子に到達すると、彼の体を包み込み、魔力が彼の内側に流れ込んだ。息子はその力を受け取り、かつてないほどの力強さを感じた。
「父さん、ありがとう…俺は…」
息子は言葉を詰まらせながらも、父親の意志を感じ取り、強く頷いた。そして、カズオは糞転がしとしての姿を保ちながら、満足そうに微笑んだ。
「さあ、これで俺の役目は終わりだ。お前はお前の道を進んでくれ。」
カズオの体は次第に光に包まれ、彼の姿は徐々に消えていった。息子はその姿を見つめながら、父親との別れを受け入れた。
「さようなら…父さん…」
カズオは息子に勝利しながらも、彼を守るための最後の力を使い果たし、静かにこの世を去った。だが、彼の魂は息子の中で生き続け、その力を未来に託したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます