第2話 隣の席の女の子
「はい、席替えするぞー」
担任はテスト終わりに毎回席替えをする人だった。
今前の方だから、今度は後ろがいい…
そんな僕の願いが叶い、なんと僕は一番後ろの席になった。隣はあおいの彼女さんだった。
「よろしくね。」
「よろしく~。あ、僕本当に授業全然分かんないから当てられたりしたら答えられないと思う…ごめんねー」
僕がそういうと、あおいの彼女さんは笑って答えた。
「ううん、大丈夫。私も全然分かんないときとかあるし笑」
良かった、いい人そうだ。
僕の前の席はあおいだし、あたり席引いちゃったなぁと、僕は呑気に考えていた。
「わかんなかったらあおいに訊こ。ねっ、あおい」
あおいの彼女さんがあおいにいたずらそうな笑みを浮かべる。
「え、えぇ。全部分かるわけじゃないからね?」
あおいは困ったように返事をした。
「あ、ねぇあおい」
僕が呼ぶと、僕の席の前と横から返事が返ってきた。
「ん、んん??」
僕はなんであおいの彼女さんが返事をしたのか不思議でたまらず、あおいに助けを求めた。するとあおいは何かに気づいたかのような顔をし、思わずふきだした。
「かおるん、君の隣の席の人の名前も葵(あおい)だよ??」
「え、そうだったっけ…えそうなの!?」
僕はびっくりして思わず横の席の葵さんを見た。
葵さんも前の席のあおいと同じように笑っていた。
「やっぱり、下の名前知らなかったみたいだね。紛らわしいから星野でいいよ。」
し、知らなかった。
僕はなんだか恥ずかしくなった。
担任が入ってきた。もう一時間目が始まってしまう。
担任はちょっと怖いからちゃんと話を聞いておかないと…
僕は気合を入れた。
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