第23話: 突然の介入

次の日の朝、シノンは再びくるみのことを気にかけながら学校に向かっていた。彼女の運命が何か大きなものに巻き込まれているのは間違いないが、まだ何が起こるかはっきりと掴めていない。白装束の人物、ペンダント、そして「運命の支配者」という言葉が頭を離れない。


教室に着いたシノンは、いつも通りの席に座り、ぼんやりと窓の外を眺めていた。そんな時、突然、派手なアクセサリーをつけた金髪の少女、小金井みこがシノンの隣に座り込んだ。


「ねえ、シノン。ちょっと話があるんだけど。」みこは面倒なことが起きたというような顔で、急に話しかけてきた。


シノンは意外な人物が声をかけてきたことに少し驚いたが、冷静を保ちながら「なんだよ、どうした?」と問い返した。


「昨日、くるみがあんたと一緒にいるのを見かけたんだけど、あれってどういうこと?あんた、最近妙に彼女にベタベタしてるけど、まさか彼氏になったってわけじゃないわよね?」みこは少し挑発的な口調で言った。


シノンは内心でため息をついたが、感情を抑えて返事をした。「違うよ。くるみの具合が悪いから、ただ心配してるだけだ。」


みこは腕を組んで、シノンの答えに納得していない様子だった。「ふーん。でも、あの子、最近変じゃない?なんか、前とは全然違うっていうかさ。クラスでもあんまり目立たなくなってるし…何か隠してる感じがするのよね。」


シノンはドキリとしたが、すぐに冷静さを保ったまま、できるだけ話をかわすことにした。「誰だって体調が悪いときは変に見えるもんだよ。特に今は大事な時期だし、ストレスが溜まってるのかもしれない。」


みこは眉をひそめてシノンを睨みつけた。「ふーん。でも、私の勘は当たるのよ。絶対に何かある気がする。それに、あの白装束の話、聞いたことある?」


シノンの心臓が一瞬で跳ね上がった。「白装束…?それがどうかしたのか?」


みこは自信満々に続けた。「そう、噂になってるじゃない。夜な夜な街をうろついてるって。それで不気味なことが起こるとか…まあ、そんなくだらない噂よ。でも、なんか気味悪くてさ。あんたも気をつけた方がいいよ。」


シノンは冷静さを保ちながら、みこに軽く笑って見せた。「噂なんて気にしてもしょうがないだろ。それに、くるみとその噂は関係ないよ。」


みこは少し不満げに口を尖らせたが、すぐに話を続けた。「ま、いいけど。あんたが言うならそうなんだろうね。でも、もし本当に何かあったら、私も巻き込まないでよ。変なことには関わりたくないから。」


シノンは彼女の軽い冗談を受け流しながらも、内心では警戒心を強めていた。みこの話す「噂」が、白装束の人物と何らかの関係があるのは明らかだった。彼女がどこまで知っているのか、そして何か危険なことに巻き込まれていないか心配だった。


「心配するなよ。お前が巻き込まれることなんてないさ。」シノンはそう言って、軽くみこを安心させた。


みこは満足げに頷き、「あんたがそう言うなら、まあいいわ。じゃあ、またね。」と言って、軽やかに席を立った。


シノンはみこが去っていく姿を見送りながら、彼女が何か知っているのか、それとも単なる偶然なのか、考えを巡らせていた。噂が広まりつつあるということは、白装束の人物がこの世界で何らかの大きな動きを見せている証拠かもしれない。シノンは再び緊張感を高め、次の行動を考え始めた。


放課後、シノンは再びくるみの家に向かうことに決めた。みこが話した噂のことを伝え、彼女と情報を共有するべきだと感じたからだ。


くるみの家に着くと、シノンはすぐにドアをノックした。くるみは少し疲れた表情を浮かべながらも、シノンを出迎えた。


「シノン、来てくれてありがとう。また何かあったの?」くるみは心配そうに尋ねた。


シノンは軽く頷き、すぐに本題に入った。「実は、今日みこがちょっと気になることを言ってたんだ。白装束の人物の噂が広がってるらしい。夜に現れるとか、不気味なことが起こるとか…」


くるみはその話を聞いて少し青ざめた。「白装束の噂…それって、もしかして…」


「多分、あの人物のことだと思う。まだみこは何も確信してないけど、話が広がり始めてる。だから、もっと注意が必要かもしれない。」シノンは真剣な表情で答えた。


くるみはシノンの言葉に深く頷いた。「分かった…これからはもっと気をつけるようにするわ。でも、その噂がどこから広がってるのか気になるわね。」


「俺もそれを探ってみるよ。今はとにかく、君を守るためにあらゆる情報を集める必要がある。」シノンは決意を込めて言った。


くるみはその言葉に安心した表情を浮かべ、シノンに感謝の気持ちを込めて微笑んだ。「ありがとう、シノン。あなたがいてくれて本当に良かった。」


シノンはくるみの手を軽く握り、「君を守るためなら、どんなことでもやるよ。」と力強く答えた。

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