第13話: 新たな波紋
夏の日差しがまだ強い昼下がり。シノンとくるみは教室に戻り、席に着いた。屋上で少し気分が落ち着いたくるみも、授業が始まる準備をしながら少しずつ前向きな表情を取り戻していた。
だが、その静かな空気は突然破られた。教室のドアが勢いよく開き、鮮やかな金髪に飾り立てた高価そうなアクセサリーを身に着けた少女、
「ねえ、みんな〜!今日はどこに遊びに行こうかしら?」みこは楽しげに声を上げ、教室内を見渡した。
その瞬間、みこの視線がくるみに止まった。しばらく彼女をじっと見つめた後、みこは歩み寄り、くるみの前に立ちはだかった。
「あなた、久しぶりに学校に来たのね?」みこは嫌味な笑みを浮かべながら言った。
みこはくるみが変わる前からくるみに対して嫌味を言ったり、嫌がらせをしていた。
今のくるみは一瞬戸惑ったが、冷静に応じた。「ええ、久しぶりに登校したの。」
「ふ〜ん。でも、どうして急に戻ってきたの?病院から退院してからもずっと休んでたのに、いきなり現れて…何かあったのかしら?」みこは探るような視線を向けた。
シノンはその態度に眉をひそめ、くるみを守るために口を開こうとしたが、くるみがそれを止めるように軽く彼の袖を引いた。
「特に何もないわ。ただ、少し体調が悪かっただけ。」くるみは冷静に答えたが、その声にはわずかな緊張が感じられた。
「へぇ、そうなの。でも、そうやって長い間休んでたからって、急に学校に戻ってきてもみんな迷惑しないかしら?あなた、ちゃんとみんなに謝ったの?」みこはわざとらしく周囲を見渡しながら続けた。
シノンの怒りが沸き上がってきたが、くるみは再び冷静に対処しようとしていた。「迷惑をかけたなら、申し訳ないわ。でも、みんなに謝るべきことは特にないと思う。戻ってきた理由は、私が学校に戻りたかったから。それだけよ。」
その言葉に、みこは少しムッとした表情を見せた。「ふん、まあ、いいけど。でも、あんまり調子に乗らないでね。私の学校にふさわしい態度を取らないと、どうなるか分からないわよ?」
みこの言葉には、明らかに敵意が込められていた。クラスメートたちは二人のやり取りに息を飲み、教室の雰囲気が一瞬張り詰めた。
その瞬間、シノンは堪えきれずに口を開いた。「小金井、もういいだろう。くるみが戻ってきたことを責めるのは間違ってる。くるみがどんな理由で休んでいたとしても、今ここにいることが大事なんだ。」
みこはシノンを見て、軽く鼻を鳴らした。「シノンくん、あなたが彼女をかばうのもおかしいんだからね。ここは私の学校よ。彼女が本当にここにふさわしいかどうか、私が見極める権利があるわ。」
シノンは冷静に彼女を見返しながら言った。「誰がふさわしいかどうかを決めるのは、君じゃない。学校はみんなの場所だ。くるみが戻ってきたことを、俺たちは受け入れるべきだ。」
みこはしばらくシノンを見つめた後、肩をすくめて笑った。「まあ、いいわ。でも、覚えておいてね、くるみさん。私はいつでも見ているから、あなたがここでどう振る舞うか、ちゃんと見極めるわ。」
そう言い残すと、みこは軽く髪をかきあげ、教室を出て行った。
くるみはその場に立ち尽くし、シノンは彼女に優しく声をかけた。「大丈夫か?あいつのことは気にしないでいい。」
くるみは小さく頷きながら、シノンに感謝の微笑みを見せた。「ありがとう、シノン。でも…少しだけ怖かった。でも、あなたがいてくれて、本当に良かった。」
その言葉に、シノンは彼女を優しく見つめ、彼女がこれからも学校で安心して過ごせるよう、さらに支えていくことを心に誓った。
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