第一話

 朱に僕の夢、理想を語ったあの日の夜から数日がたった。

 僕は体の傷はまだ完治しておらずしばらく欠損した指での歩くリハビリは後回しに部屋での安静を雫から言い渡された。 

 朱はとりあえず押入れに隠れすませている、この家の者に魔物を匿っていることがバレたら再教育以上のものが待っているが一頭では弱い野狐を再び森に放して野垂れ死んでしまわれるのは嫌だし、何より守ると約束したのだから命をかける覚悟をした。

 幸い朱の食糧は僕の血で事足りた、朱に血だけで大丈夫か?と聞いたら、「最高!」と喜んでいたので問題ないだろう。

 しかし、朱の処遇を考えねば、このまま隠し通すには限界がある。どうしたものか...そう思案していると誰かが部屋に近づく足音が聞こえた。雫が巻物や本といった荷物とともに部屋に入ってくる。


 「若様おはようございます。では、今日から座学を始めましょう」

雫はそういいながら粛々と準備を進めていく。



 僕は体を動かせないので術式や体術といった体に負荷がかかる修行は必然的に禁止となったのでその分今日からは座学の時間になった。教師は雫が務める。

 主に学ぶのは、この国の現代までの「歴史」と術式を使う上で必須となる霊力についての霊力学だ。

 雫による講義は、まずこの国の歴史についてから始まった。ここに置いて国とは僕が生まれた一族である久月家が収めている領土のことを指している。 

 今から約500年前この広大な列島は日の本と言われていた。

 しかしある日から魔物達が年々狂暴化していき、そしてついに強大な魔物が大勢の魔物とともに蜂起し、当時の日本の国の中枢をことごとく破壊し日本という国の概念が崩壊してしまった。そこで台頭してきたのが退魔師たちだ。

 退魔師たちは魔物を退け、そして人に魔物から身を守るすべである術式を広めた。そんな退魔師たちの中でも特に大きかった三つの勢力はそれぞれ魔物が侵食し跋扈する広い土地を奪還し自らの領土と主張し後に国を名乗った。

 その中の一つが久月家が収める山岳地帯と大河に囲まれた「月陵」である。月陵では月を神聖視しており、久月家は退魔師であるとともにもともとは月を信仰する神官でもある。そのためご神体を守るため国を治める立場でありながら山奥に本家を構えている。

 父は月信仰については信仰心、関心ともに薄いようで神官の仕事を放っていて退魔師の仕事にご執心である。なので代々久月家に仕えている重臣はよく苦言をはいてるらしい。

 僕も15歳になると神官職や父の仕事を継ぐ準備が始まると雫から聞いているがちゃんと仕事が務まるかわからない大丈夫なのだろうか?。

 

 次に「霊力」について、霊力とはすべての生物び流れるものであり魔物も人間も同様に流れていが魔物の場合は魔力と区別されている。

 霊力は扱う者の技量によって炎や水、雷に変換することができ、この変換する技術方法を術式と言い、ただ単に水や炎を放出する下級の物からそれらを組み合わせたり、斬撃を放ったりする上級の物まである。

 術式は霊力があるすべて人が扱えるため、生活水準を変える革新的なものであり、

退魔師が教えを広めてからは人の生活は劇的に変化した。近代になってそれは顕著であり、距離の離れたものと声で連絡を取る通信機をはじめ車や電車など術式を応用したものが多く作られている。


「と、今日はここまで終わりにしましょう」


 そう言って雫は、使用した資料や教科書の片づけを始める。


 どうやら今日は初日ということなので初歩的な段階で座学はお開きになった。

 

「では、若様今日も安静にしてお過ごしください」


 雫は片づけが済んだようで部屋を出る挨拶をしてくる。


「あ!まって」

 

 僕は部屋を出よう障子に手をかけた雫を呼び止める。

 最近家の者たちが騒がしいのでそのことについて聞いておきたかった。


「最近皆があわただしく動いているがどうかしたのか?」

 

「はい、明後日に新たに久月家で引き取ることとなった孤児の受け入れがご当主様により命令され、皆その準備で忙しくしているのです。」

 

 雫は淡々と答え、僕の部屋を後にした。


 孤児の受け入れか...最近は頻度が上がってるな魔物被害が最近広がってきているのか?

 でも、この状況は使えるんじゃないか?

 

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 毎日投稿をすると物語の構成が甘くなっちゃたので無理をしない程度に投稿していこうと思います。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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