真実
簡単に今までの下りをリカちゃんから説明してもらった。その上で、俺は聞いた。
「リコちゃんはなんで逃げないの?」
リコちゃんはしばらく俯いてしまった。
「ごめん。無理な話だよね。そんな研究所から辞めるのなんて、」
「いや」
リコちゃんが遮る。
「私、決めた。ここから逃げる。」
「いいの?」
リコちゃんの目に覚悟が宿った。
「それで、作戦は?」
「作戦、ね」
僕は腕を組んで少し考えた。でもすぐに答えは出た。
「僕がこの部屋の中で武器を作る。そんで最後に、この部屋をぶっ壊すって想像する。もちろんリコちゃんを連れて。そんで、リコちゃんと俺で武器持って逃げる。」
うん。すごく安直。
それでもリコちゃんは、
「いいね、すごく、好き。」
と、賛同してくれた。
「じゃあ今からやりますか。」
「え、今から?」
「もちろん。大丈夫だって。僕この部屋の中なら最強だし。」
行動力の鬼なばあちゃんに似てきたかな?
それから、銃、スタンガン、バールを生成し、リコちゃんに渡した。
「ほい」
「あ、ありがとう…」
なんで自分がこんなにも単純に切り替えられたのか。それは自分がいた世界があまりにも単純で、滑稽に見えたからだ。
こんなことかでメソメソしてたらばあちゃんにでっかい声で叱られちまう。
一通り作り終わった。
「じゃあ、始めますか。」
と俺が一言。
「OK。」
リコちゃんから覚悟が混じる声が聞こえて、安心した。
目を閉じて、この部屋…いや、自分が描き続けてきた心象世界に別れを告げた。
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