第17話 ともかく待つ
僕、マルセルは冒険者ギルドに向かった。あの『白狼の牙』と称された女性の元へ。彼女の弟子にしてもらうために。
荒くれ者たちが集い、依頼を受け、報酬を受け取る。そんな場所が冒険者ギルドの受付だ。おそらくここで待っていれば、彼女はやってくるだろう。何日待たされようが、何度断られようが、一度決めた男の道。当たって砕けろで突き進んでやる。そう意気込んで待っていた。
「あの、すいません。『白狼の牙』さまは、今どちらに?」
とりあえずこらえきれなくて、受付の男性に話を聞いてみた。男性は少し考えてから、言葉を発した。
「……ふむ。あの方は今、依頼を受けて魔物の群れの討伐に向かっています。順調に行けば、明後日あたりには帰られるかと」
明後日か。そのくらいなら、待てるな。僕は冒険者ギルドの受付前のベンチに座り、彼女が来るのを待っていた。もしかしたら、早く帰ってくるかも知れないからだ。
待つ事自体は苦ではない。野営をしつつ騎士さまの帰りを待つとか、ザラにある。雨風しのげて座って待てるなら、全然平気だ。
と、思ったら、見覚えのある白髪が目に入ってきた。あれ? 明後日の帰りじゃなかったのか?
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