第16話 退路は絶った

 その日の夕方、僕は見習いに付いている騎士さまと、話し合いの場を設けてもらった。今後の身の振り方を相談するからだ。

「えーっと、つまりキミは見習いを辞めたい、と」

「はい。残念ですが」

「うーん。そこで「はいそうですか」と、言えない所がなぁ。ちなみに、次のアテはあるの?」

「『白狼の牙』さまの所に弟子入りしようと、直談判します」

 僕は胸を張って言い切った。


「はぁ……。あの人、弟子は取らないはずだけどなぁ……。まあ別に、次の見習いを雇えばいいし。好きにすれば?」

「え? いいんですか?」

「言って聞くようなタマじゃないだろ、キミ?」

「では、そうさせて頂きます。お世話になりました」

 深々と頭を下げて、その場を後にする。これで退路は断たれた訳だ。


「もう後戻りはできないぞ。断られても、しつこくしがみついてやる!」

 僕は自分に気合いを入れて、騎士駐屯場所を後にする。向かうは、冒険者ギルドだ。おそらくそこに行けば、あの女性がいるはずだ。あの白髪の美女が。

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