第14話 一悶着あり

 そんな所で、受付の男性が書類を持ってくる。

「お待たせしました。こちら受領書に……、おお。ちょうどお越しでしたか。報奨金、お持ちします」

 騎士さまに書類を渡すと、また受付に戻って報奨金の入った革袋を女性に渡す。

「これで手続きは完了ですな。では、どちら様もお疲れ様でした」

 一礼をして、受付の男性は持ち場に戻って行く。


「では、我々はこれにて。行くぞ、見習い」

「あ、はい!」

 そう短く言葉を切って礼をすると、女性は深々と頭を下げた

「あ、お疲れ様でした」

 これで終了……とはならなかった。


 ここ冒険者ギルドの中では、いわゆる荒くれ者が大半を占める。多少のいざこざはあって当然なのだ。

「ぁあぁん! どこ見てやがる!」「んだごらぁ! そりゃこっちのセリフだ!」

 肩がぶつかったか何かで、なんだか険悪なムードが漂ってきた。こりゃ一悶着ありそうだな。

 そんな所に割って入ったのは、先程の白髪の女性だ。荒くれ者たちとの体格差は、一回り以上はある。

「あー、まあまあ。落ち着いて下さいな」

 彼女の言葉に、男たちはハエでも付いたかのような視線を投げつける。

「うるせぇ! すっこんでろ!」

 片方の男が、片手で女性を払うような動作をする。それだけでも人が昏倒するような威力がある。

 驚くべきはそこからだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る