第11話 二つ名の数々

 それを聞いた騎士さまは、手を上げて合図をすると、僕を引き戻した。

「では、冒険者ギルドを経由して、報奨金などの支払いは後日に。それでは私たちは戻ります」

 どうやらこれで終わり。戦闘にもならず帰れそうだ。しかしまた、半日ジョギングか。しんどいなぁ。


 そうやって騎士団の駐屯場所まで戻ってきた訳だが、ふと聞きたい事が出てきた。知ってそうなのは騎士さまなので、機材の片付けがてら聞いてみる事にした。

「あの時の女性、『白狼の牙』とか呼んでましたけど、どういうご関係で?」

「お前、何も知らないんだな」

 あきれたようにため息をつきながら、騎士さまが教えてくれる。だって知らないんだからしょうがないじゃん。


「あの御方は、様々な二つ名で呼ばれている有名人だぞ。『白狼の牙』『彷徨える武王』『二手詰め』『千騎殺し』。有名どころでもこれだけある。それだけの戦場で活躍し、戦果を携えて戻ってきている。それだけで、どれだけ強いかわかるだろ?」


 エグい呼ばれ様だ。

 それだけでかなり強い事がうかがえる。

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