第9話 二つ名

「ぶへぇ。とりあえず休みぃ」

 我ながらなんとも情けない声を上げて座り込む。いやだって、風も入らないような厚着をして半日ジョギングしてれば、こうもなる。

 騎士さまはそんな僕にはお構いなく、例の女性と話をしていた。


「まさか……、あなたはあの、『白狼の牙』と呼ばれる……」

「んー。あたしはそんな変な呼ばれ方、認めてないんだけどなぁ」

 女性の方は、こめかみに指を当てて、なんとも言いようのない困った顔をしていた。


『白狼の牙』? なんの事なのだろう。それは後で聞くとしよう。


 しばらく待機していると、後から来た馬車に聖職者さんが乗って来ていた。討伐した魔物は、その身体から悪い気『瘴気』を出すので、聖職者さんによって祓ってもらってから、土の中に埋めるのだ。ちなみにその穴を掘るのも、僕の役割だ。あーあ、まだ仕事は続くようだ。

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