第7話 殴打

「あ、やっと来た。終わっちゃったから、死体の後始末をお願いします」


 ぺこりと頭を下げた女性は、事も無げにそう言った。

 不審に思った騎士さまは、その女性に尋ねた。

「これ、あんたがやったのか?」

「まぁそうなりますね」

 やっぱりそうなのか。

 しかし、彼女はメイスなどの武器は持っていない。あたりにはそういう武器が立てかけてもいない。どうやってこれらの魔物を討伐したのだろう?


 その時だった。

 もぞり、と魔物の死体の山の一部が動いた。それに気づいたのは僕だけ。その動いた部分からは、野犬型の魔物が飛び出して女性に噛みつこうとしていた。


「危ない!」

 声をかけたがもう遅い。その牙は女性に届く直前だった。


ゴッ


 不意に鈍い音がした。

 その後に野犬型の魔物は「どすん」と地に伏した。何が起こったのか、一瞬わからなかった。しかしよくよく情景を反芻すると、この状況の原因が理解できた。

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