第2話 僕はマルセル

 僕の名前はマルセル。

 名字が無いだって? そんな大層なものを持っているのは、偉い貴族さまと大金持ちの大商人くらいなものだよ。貧乏な村で生まれ育った僕に、マルセル以外の名前なんて無いよ。


 そんな僕は、人生最大の岐路に立たされている。

 今現在の状況は、騎士見習いとして、王族や貴族を守る騎士さまに付き添い、槍や盾を持ち野営の道具を用意して、炊事洗濯掃除なんでもやる、そんな下働きをしている。


 そんな僕も、あと一年で十五だ。そろそろ自分の進路を決めないと。

 通常なら騎士を目指して試験に挑むのだが、いかんせん狭き門。騎士になれるのは百人いてひとりくらいなものだ。


 騎士の試験を受けるか、別な道を見つけるか、そろそろ決めないといけない時になっていた。

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