第17話 存在

 初めての拒絶だった。何故なのか。しかし、彼女は泣いていた。本当はこんなことしたくないんでしょ。でも何か理由があって私を突き放したのでしょう。ぎゅっと彼女を抱きしめた。 彼女の手が私の背に回り、抱きしめ合った。私たたちは溶け合うようにひとつの塊のようになって、そして、彼女の羽が私を覆って、そして海へ落ちたのである。同じ存在になれたなら。重なった思いはもう離れない。海へと落下しながら、死に近づきながらも思い出すのは彼女ばかり。私はもう後戻りできないところまで歩いてきた。手を広げる彼女の元へと自分の意思で歩いて、そして倒れ込むように海へと落ちたのである。これで一緒。一緒なのだ。日常に別れを告げる。

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