第2話 罪の意識と悦
「あーなんかよく寝たって感じ」
「そうですね、私も先の戦闘は少し辛かったですが……」
口を濁した。フィリスも数ヶ月前の殺戮時を思い出して感傷に浸っているのだろうか、それ以上会話が続かなかった。
星を守るためとはいえ、東宇宙に出てまで殺戮を繰り返す必要はあるのだろうか……。いや、敵も相当な兵数であの平和な星を攻めてきた。偵察部隊などといって誤魔化していたが、過去に平和区を犯した前例があった。
2人とも政府系の学園に通っている。西宇宙最大の大きさを誇る名星の大倹である。人口も1300億人と多い。
この有人宇宙域は90の群星で統治されている西方群星連合と、77ある東方群星連合、そして中央の関所と言える中立的立場である群星13で組織されている中央群星連合がある。母球と言われている地球は西宇宙群星連合の左端にあるが、中央群星連合に位置しており平和区惑星として他星の干渉を許していない。未登録なコロニーや少数有人惑星がその外に幾つかあるらしいが人口は100億以下の小さな星ばかりである。今回の戦闘は東宇宙群の西寄りの地域で行われた。
中央を無断で渡ったため違法なのはこちら側であったが、それなりの
2人は学園に向かい歩きながら会話していた。5年年下の菜穂は敬語だった。年齢の違いの割に制服が同じだった。そのことから同じ学園で学校も同じだと推測できる。
「フィリス先輩、宿題してきました?」唐突に聞いた。
少し焦って「え、えーと、どうだったかな……」
「ぷっ、どうだったかなって絶対してないじゃないですか、先生怖いですよ」
「う、うん、何とかしてでも放課後までには終わらせないと、菜穂手伝って〜」
「ダメですよ、それにどうして後輩の私が手伝わないといけないんですか」
「だって菜穂天才だし、この前ももっとレベルの高い論文勉強してたでしょう、お願い!」
「ダメです、私は寝る時間を割いてまで終わらせてるんですから、先輩もしっかりしないと困ったことになりますよ」
「そ、そんなぁ」
高度情報資料学校という政府系の特殊な学校に通っていた。全員が政府高官か政府の要人たちの子供でさらに成績優秀でなくてはならない。菜穂はその中でも天才と言われ5年年上のフィリスと同学年だった。だった2000人しかいない学校でその制服を見るだけでも幸運と言われるほどであった。
カウンセリングは受けたものの2人の心の奥深い傷までは癒せなかった。しかしこの日常がそしてたわいもない会話をしている時は、それを忘れさせてくれた。
歌曲による魂融合システム、この聖歌研究学園で秘密裏に開発されている。最新鋭の亜種人化臈長兵器システムの1つである。
この
ある天才科学者の発案らしいがその天才科学者も100年以上前に勾留されて現在は生存不明である。
その曰く付きの能力を持っている人間は東宇宙側にはいなく、西宇宙側にもこの極秘資料内でも数名から数十名と数が分からない。その能力から特徴または制限時間など全てが不明である。そんな能力を酷使させられてるのがこの少女両名であった。
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