十月は黄昏の銀河帝国

沙月Q

プロローグ

 火星軌道に星百合スターリリィが咲いた。


 百合の花に似た、巨大な鉱物から成る何か。

 だがそれは生きている。

 生物なのだ。

 星百合は超空間に道を造り、星と星の間を繋ぐ。

 そして今、その道の出口であるスター・ゲートを潜って何隻かの宇宙艦が姿を現し、太陽の方向へと舵を切った。

 ややあって、さらに一隻の船が現れてその軌跡を追った。

 両者の行く手に横切るのは、第三惑星地球の軌道……


 ……だが、目的地はその衛星の方だった。

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