第12話 勉強があるの……?
ドサッ
ドサドサッ
ドサドサドサッ
ズシッ
「これは……?」
放課後、
「日曜行く予定の
答えたのは
「
聞いたことのない国。
「どこにある国なの?」
「異世界。こことは違う世界。この世界と夢の世界の狭間にあって、たまに化け物退治の協力するんだ。今回も、城で化け物の目撃情報が相次ぐから来てくれって依頼があった。そこに
「そんな……」
勝手に決められてるなんて。
まずは行くかどうかの確認じゃだめだったのかな。
「
一分一秒でも惜しいと言わんばかりの勢いで説明を終える。
詰め込むって、この量の情報を?
日曜までに?
「あと二日しかない……」
「そうだよ。今日と明日で覚えるんだ。明日土曜で良かったな」
「そんな……」
良くないよ。
そして土曜日の予定も決められてしまっていた。
「
「別件で先に行ってる。俺は
「そんな……」
丁寧に教えてくれそうな
「それから、これもな」
まだあるの……!
震える手で
「これを参考に今回のキャラを作れってさ。
確かに短文三行説明の『
「とりあえず必要最低限記録帳に書き込んで、そのほかは
「おど……! なんで……!」
「覚えていた方が都合がいいからだよ。記録帳補正でまったくできないってことはないけど、より高みを目指すなら練習しなきゃいけない」
「どうやって……」
「決まってんだろ、俺が教えるんだよ!」
そう言って、
すらりとした手足、くっきりとした目鼻立ち、アラビアン衣装を身にまとった才波君は、きれいな踊り子へと変身した。
とっても魅惑的な人。
でも中身は
「このキャラは踊りと歌と演奏が得意だ!
優雅さの欠片もない動作で私に本を押し付ける。
♦♦♦
太陽が二つ現れたことで氷が解け、人が住めるようになった。
「舞の型はこう!」
山間の州では──、海の近い西方部は独自の貿易を──。
各州によって立場が違い、現王朝を支持する北部地域でも──。
「手の角度が違う! つま先まで意識しろ!」
──この時期の
現王朝は──。
「動きが小さい! もっと堂々と!」
♦♦♦
日曜日の朝。
金曜、土曜と散々しごかれた私は、すでに疲れ切った状態でコノカちゃんのマンションを訪れる。
フロントまで来て、部屋の番号を押す前に小さくため息をついた。
正直押したくない。
憂鬱。
あれだけ教えてもらったのに結局私は三割も覚えきれなかったんだ。
でも行かないわけにもいかず、インターホンを鳴らして開けてもらい、エレベーターに乗ってコノカちゃん家の部屋がある七階へ。七〇三号室のチャイムを押せば、
「おはよう」
「おはよう。お邪魔します」
ぺこりと頭を下げて中に入る。
「
「え、うん、えっと、眠れたよ」
えへへと笑ってごまかす。ごめんなさい、睡眠時間三時間くらいです。
それで三割……。
うぅ。
役立たずな自分を見られたくなくてそそくさと下を向きながら廊下を歩き、リビングの扉を開けると、大きな魔法陣が目に飛び込んできた。床一面に敷き詰められたたくさんの紙に、でかでかと魔法陣が描かれている。
「
驚きの声をあげながら才波君の方を向く。
「移動用の魔法陣だよ。
「すごい、魔法って本当にあるんだ」
「化け物と戦ってながら今更」
私の間抜けな発言に
「これ、私が帰ってから用意したってことだよね」
「そうだよ」
「ずっと私に教えてくれてたのにその後もいろいろ準備してたなんてすごい」
「いや、それをいうなら
腰に手を当て、呆れた口調で
私が?
物覚え悪くて迷惑かけてた記憶しかないけど。
「初めて会った時から思ってたんだけど、
「え、そう、かな」
「根性あるよ」
「え、えっと、考えてること口に出すのが苦手なだけで、ずっと無理だって思ってるよ。根性あるわけじゃない……」
「言わないならはたから見たら根性あるやつだよ。……、だから──ことに罪悪感感じるんだけど」
最後、
なんて言ったか聞き取れなくて首を傾げれば、
「よし、変身するぞ」
「え、う、うん! 『はじまり、はじまり』」
魔法陣に乗り、いざ
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