3章
第11話 クラスで過ごす
思い返せば、コノカちゃんについては不自然なことばかりだ。
本物のコノカちゃんは病弱だって言っていたけど、
それどころか、コノカちゃんは戦闘に特化したキャラというようなことも言っていた。
病弱な人を参考に作られたキャラでそんなことするかなあ?
しちゃいけないわけじゃないけど、違和感はあるよ。
お見舞い行くのに優秀な成績が必要って言うのも謎だし。
そもそも
あの時聞いておけばよかったって思うことが、あとからあとからどんどん出てくるよ。
いつ聞こう……。
ちらりと
昼休みの教室内。二人はそれぞれの友達と話して、って、あれ。
「若ちゃん。さっき向こうの男子たちが、
一緒に話していた友達の
私の話?
なんだろう……。気づかなかった振りしちゃダメかなあ。
反応に困って、男子たちから目をそらしたのもつかの間、男子グループの一人から声がかかる。
「
ニヤニヤとからかうような声。
男子の声は教室全体に聞こえるほど大きく、みんなの視線が一気に私に向く。
視線が痛い。
怖い。
「し、知らないっ」
うつむきながら出たのはかすれた声だけだった。
男子は、今度は標的を
「
「そりゃ知らねえだろ、言ってねえし」
対する
「知らねえって……、勝手に予定立てるとかやばくね、お前」
「あとで言うつもりだったんだよ。つーわけで、
ひぃっ、またお鉢がこっちに回ってきた。
うつむいててもわかる。みんな見てる。
早くこの場を終わらせたくて、必死で頭をコクコクと縦に振る。
掃除の時間は班ごとだから、
コノカちゃんのロールプレイをしている
普段の掃除のときは時折話すぐらいなのに、今日はずっとそばに居る。
「それでね、うちで猫を飼いはじめてね。
「え、うん」
「良かった。今日遊びに来てよ。猫かわいいよ」
「う、うん」
しているのは他愛のない話。
えっと、うんと。
「もしかして化け物退治の話?」
周りに聞こえないよう声を抑えて
「猫の話だよ?」
「そうだけど、でも」
「──本当はさ、
「あ……」
「
「ありがとう。ごめんね」
「謝らなくていいんだって。悪いのは
箒を手に
「僕の名前出していいしさ」
私にだけ聞こえる小さな声。
それほどまでに私を心配してくれているんだ。
優しい
「大丈夫、そこまでしなくても、皆に説明できるよう私が頑張るから」
「…………そっか」
少しの間の後、
「じゃあ、私は誤解だってことだけ言っておくね」
みんなに聞かれてもいい声の大きさ。ここからの会話はコノカちゃんとしてってことなんだ。
「あ、遊ぼうって言ったのは本当だから。放課後、うちのマンションまで来てね」
お願いするように両手を合わせる。
でもよく見れば少し手の角度が違って、あれは本を閉じる仕草だった。
私たちにだけわかる合図。
ロールプレイの始まり。
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