第3話 小学校における選択ミスとは①
私の小学校入学を控え、私達家族は社宅から一軒家と引っ越しをしました。
社宅にずっと住んでいたい、そんなことは思っていませんでしたが、それでもこの引っ越しは選択ミスであると言わざるを得ません。
引越し先は、幼稚園から大分離れた場所。
当然、同じ幼稚園の子はほとんどその学校にはおらず、内向的で人見知りの私にとっては恐怖の毎日だったのです。
なぜ両親がそんな場所に家を購入したのか、全く分かりません。
でも、これは私の人生にとっての選択ミスであるとしか言いようが無いのです。
私は、小学校入学から1ヶ月の間、登校拒否を続けました。
私の通っていた小学校には、登校班と言う制度があり、近所の子がある程度まとまって通学するのですが、その登校班の班長のお姉さんには本当に迷惑をかけてしまいました。
そのお姉さんは根気強く、私を一緒に通学するようにと誘ってくれていましたが、私は泣いてばかりで学校へと行くことが出来ませんでした。
しまいには、担任の先生やら教頭先生やらが途中まで迎えに来る始末。
私の中で、何がそんなにも嫌だったのか。
記憶を探ってみると、友達のいない環境や、小学校に入って始まった勉強、給食すべてが嫌だったように思えます。
でも、登校拒否をすればするほど、友達は出来なくなるし、勉強だってついていけなくなる。
そんな事を考える余裕もなく、とにかく学校と言う存在が嫌だったのです。
よくよく考えてみれば、しっかりと入学時から学校に通っていれば、友達も早くに出来たかもしれないし、勉強に苦手意識を持つことも無かったのかもしれません。
引越し先の選択ミス、小学校入学時に登校拒否をするという選択ミス、この2つが私の小学校生活のスタートを悪いものにしたと言っていいでしょう。
さて、小学校の登校拒否はある日、突然終わりました。
自分の中で何かが吹っ切れたのでしょう。
と言うか、諦めがついたというかなんというか。
嫌でも学校には行かないといけない、勉強も給食も駄々をこねたからと言って変わるものではないと気が付いたのです。
もっと早くに気が付けばいいものを…
今の私ならそう思うのですが、当時の私には1ヶ月と言う時間が必要だったのだと思います。
ではなぜ、勉強に不安があったのかと言うと、私の通っていた幼稚園ではひらがなすら教えてくれない幼稚園だったからです。
幼稚園時代は、のびのびと遊んで過ごすものと言うそんな教育理念があったようです。
両親はそれに賛同していたようですが、当事者である私は困りました。
小学校のクラスメイトはほとんどがひらがなが書け、簡単な計算が出来ると言った子達ばかりだったのです。
必死にひらがなを練習する私は、休み時間も取れずにいました。
皆が楽勝で終わらせることが出来る事を、ひたすら時間をかけて勉強しなくてはならなかったのです。
休み時間は友達を作る貴重な時間でもありますよね。
それが、勉強が終わらずに、居残り。
親しい友達は中々出来ずにいました。
そんな中出来た友達は、やっぱり自分と同じ境遇の友達だったと思います。
私と同じように、休み時間にまで居残り勉強をさせられていた子だったと記憶しています。
わずかに出来た休み時間にちょっと話をするそんな程度の友達だったと思います。
そして、小学校1年生はとにかく落ちこぼれの1年でした。
皆にやっと追いつくことが出来たのは、2学期の後半くらいになってからだったように思います。
追いついたと言っても、成績は中の下と言ったところでしょうか。
性格も変わらず、内向的だったので、家では明るく外では静かと言った日々を過ごしていました。
ここで小学校1年生の時の担任の先生についても話しておこうと思います。
私の担任の先生はベテランで年配の女性の先生でした。
その先生は学年1、厳しいことで有名の先生だったのです。
登校拒否の私を迎えに来てくれるような優しさはあったものの、いざ学校に着いてしまえば、容赦はなかったと記憶しています。
でも、今考えれば落ちこぼれの私に根気強く付き合ってくれたことへは感謝しなくてはいけないと思うのです。
休み時間返上で、勉強を見てくれた事は厳しさの中の優しさだったのだと思います。
もしもこれがあの先生じゃなく、他の先生だったら…?
よくよく考えてみると、私はあの先生が担任で良かったのです。
これは選択ミスばかりの私の人生にとって、選択ミスではないのだと思います。
恵まれていた、今考えればそう思えるのです。
ですが、学年が上がれば、担任の先生も変わるものです。
2年時の担任の先生もベテランの先生でしたが、1年時の先生とはタイプの違う先生でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます