第3話 小学校に入っても暗い子

私の小学校入学を機に、私達家族は社宅から一軒家へと引っ越しをしました。

社宅にずっと住んでいられるとは思っていなかったですが、引っ越した先は幼稚園からかなり離れた場所にありました。

なぜ両親がそんな場所に一軒家を買ったのか今でも謎です。

かなり離れた場所に引っ越した事により、必然的に近所にいた友人達と離れることになりました。

もちろん学区も変わり、入学すると思っていた小学校とは違う小学校に入学する事になったのです。

ちなみに、社宅のすぐ横に小学校があって、私はそこへ通うものだと信じていました。

友人が全くいない小学校への入学。

それは人見知りで内向的な性格の私にとって、恐怖以外のなにものでもありませんでした。

ちなみに、引っ越した先の近所には同年代の子が住んでおらず、友人がすぐに出来るという事はありませんでした。

唯一の救いだったのは、我が家の斜め前の家に、小学校高学年のお姉さんが住んでいた事です。

私が通っていた小学校は登校班を組んで朝登校するのですが、登校班にそのお姉さんが一緒になった事は本当にありがたかったです。

とはいえ、前話で書いたように小学校入学してすぐに私は登校拒否をしたのです。

では、何故私は登校拒否をしたのかその理由を書いていこうと思います。


登校拒否をした1番の理由は、小学校と言う環境に慣れることが出来なかったという事です。

勉強も、運動も、給食も全てが嫌でした。

勉強は、幼稚園で一切してこなかったので、クラスの誰よりも出来なかったです。

自分の名前すら書けない子なんていなかったのですから。

運動は、運動神経に恵まれなかったので、どんな競技も上手くできる事はありませんでした。

逆上がりも出来なかったし、跳び箱も普通の段が飛べなかったと覚えています。

給食は、幼稚園ではお弁当を食べていたので、本当に慣れずに嫌いでした。

元々、母が作ってくれた料理しか食べて来なかった私にとって、いきなりの学校給食はハードルが高過ぎたのです。

と言うか、好き嫌いも多かったのも、給食嫌いの一因だったと思います。

そんなこんなで、私は入学してから1ヶ月の間登校拒否を続けたのです。

同じ登校班だった、前述のお姉さんは私を一緒に通学するように根気よく誘ってくれました。

それでも小学校へ行くのが嫌で泣いてばかりの私。

しまいには、担任の先生や、教頭先生までもが通学路の途中まで迎えに来る始末。

本当に泣いて泣いて手のかかる子供だったと思います。


でも、ある日何かを境に小学校へ登校するようになったのです。

その理由は何度も思い返してみたのですが、大きな理由が見当たらないのです。

もしかしたら、いくら登校拒否をしたところで、結局は小学校に通わなくてはいけないと悟ったのかもしれません。

嫌いな勉強も運動も給食も全て受け入れることしかないと思ったのでしょう。

悟りを開けるのなら、もっと早くに悟れば良かったものの…

しかし、その当時の私には1ヶ月と言う期間が必要だったのかもしれません。

その登校拒否をしていた期間、母にはしこたま怒られていましたが、父には学校の事は一切言われませんでした。

後で聞いた話ですが、両親ともに私を責めるような事があれば、登校拒否の期間はさらに伸びていたかもしれないと言う事です。

両親のそんな気遣いもあり、ようやく普通に登校する事が出来るようになりました。


さて、入学して1ヶ月に及ぶ登校拒否は、もちろん私の小学校生活のスタートを良いものになるわけがありませんでした。

クラスのほとんどが友人を作り、グループになっていて私の入る余地はありませんでした。

そして、勉強もさらに遅れていったのです。

授業中の課題が終わらなければ、休み時間も課題をしないといけませんでした。

私の他にも数人終わらない子がいたと思いますが、私は断トツで遅れていました。

ある日、初めて授業中に課題が終わった時には、「え?遊んでも良いの?」とびっくりしたのを覚えています。

ただ、遊ぶ友人はいなかったのですが。


こんな私を見てくれたのは、ベテランの厳しい年配の女性の先生でした。

学年でも1番厳しい先生で有名でした。

登校拒否をする私を迎えに来てくれる優しさはあったものの、いざ小学校についてしまえば容赦なく厳しい先生だったと記憶しています。

それでも、落ちこぼれの私を見捨てることなく根気よく見てくれた事には感謝をしなければなりません。

休み時間返上で、私の事を見てくれた先生。

もしも他の先生だったらどうなっていたか…厳しかったけれど、この先生で良かったと心の底から思っています。

これは選択ミスばかりの私の人生にとって、選択ミスではないのだと思います。

とても恵まれていた、今考えればそう思えるのです。


1年生の1学期は本当に落ちこぼれの毎日を過ごしていました。

それが少しずつ成績に変化が出てきたのは、2学期に入ってからでしょうか。

1年生の後半になればなるほど、ほんの少しずつ勉強が出来るようになっていきました。

とは言っても落ちこぼれから、真ん中位に上がれたというくらいです。

それでも、私には自信になっていったと思います。

勉強が出来るようになるにつれて、少しずつ友人も出来ていったのです。

友人が出来たからと言って積極的な性格になったわけではなく、相変わらず内弁慶な性格のままでした。

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