第18話 戦争
意識が戻った時、教室は既に消火されボクはエイダくんに膝枕されていた。ボクは体の損傷が激しかったため急遽病院に送られた。
エイダくんがなにか叫びながら救急車で運ばれるボクを必死に追いかけていた。ボクは思ったボクは誰かを守るために必死に努力して力をつけてきた。だが、なんのために誰のために力をつけていたのかポッカリと穴が空いたみたいに何も分からなくなった。誰を愛していたのか、誰に愛されていたのか...遠のく意識の中記憶の襖を開けるみたいに掘り返した。少し思い出した俺はある女の子の父親に雇われ、護衛任務についていた。その子はひまわりのように明るく笑っていた。いいものを食べていたのか少しほっぺがふっくらしていたようだ。だがボクはそのほっぺたの中に存在する脂肪がたまらなく愛しかった。そんなことを思い出した。
突如頭に鋭い痛みが襲ってきた。これ以上記憶を遡ろうとするとズキズキが止まらない。せめて、最後に名前だけでも……
あ ーーーーーーーー〇ーーーーーーーーーーーーーーーーね
あ〇ね
そうだ。あの子の名前はあ〇ねだった!
「やった!やっと少し思い出せた!」
あと一文字。この一文字が思い出せない。
パズルのひとピースがどこかに行ってしまったみたいに。
そんなことを思いながらボクは病院を抜け出して「彼女」を探しに行くことを決意した。
もう気温は1桁まで落ちて肌に寒気が押し寄せ、ボクの体中の毛が立つ。はぁっと息を吐いてみるとボクの息は景色の一部分を白く染める。
もう冬だなと呟くと後ろから気配を感じた。
ボクは翔梅を手に取り気配のする方へ投擲した
「ぐはっ」という呻き声が聞こえた。
間違えて通りすがりの人を刺してしまったのかと肝を冷やしたがどうやら一般人ではないようだ。だが翔毒の毒で身動きが取れないようだが口をモゴモゴと動かし何かを伝えようとしている。
「ぁ ..て.がみを……」
男はそう言うと意識を失った。ボクは男の言う手紙(?)を男の懐から取りだし読んでみる。
ーきよたさ様へー
現在、ニッホンは他国との関係が芳しくないです。もうすぐ戦争が始まると思います。この世界にある国々が我々ニッホンに牙を突き立ててきます。あなたの大切な「彼女」もこのままでは命を無惨にも奪われるでしょう。あなたが前線で戦えば最悪の結果を防ぐことが出来るかもしれません。詳しいお話はまた後日に。
近藤新 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
手紙にはいずれ訪れる最悪の結果とそれを示した男の名と男の電話番号だった。
「彼女」を守るためにボクは迷わず近藤新に電話をかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます