第16話 非日常
はぁ、あやねに会いたい。学校を休んで修行している時は会いたい時にいつでもあやねに会いに行けたのに...学校はクソだなぁ。学校破壊されて授業中断して、速攻下校になんないかなー
なるわけないよなー。
「きよた!ここってなんて読むの?」
撃子が愛くるしい動作でボクに聞いてきた。
可愛いな
ボクの頭にこの一言がよぎった。だが、ボクは頭を振り、あやねのことを想像した。
可愛いな
よし!無事あやね脳に切り替えることが出来た。あやね脳の弊害であやねのことしか考えられなくなり、授業の内容が全く頭に入ってこないが問題ない。むしろこの退屈な時間を大好きなあやねでいっぱいな時間になったんだ。まじあやねさまさま。あやねLove。
「…た」 「よた」「きよた!」
どぅぁゎ!びっくりした!
「えっとなんだっけ撃子?」
「だーかーらここなんて読むの?」
「あぁえーっとこの漢字はね、隙って読むんだよ。」
「えっ!私のことが好きなの?」
「いや違くて、漢字で『隙』って読むんだ。」
「ホントは好きなんでしょ?」
「いやまじで好きじゃないよ。」
な、なんなんだ。急に人が変わったみたいだな。それともこれが撃子の本性なのか?
「じゃ〜あ、これなんて読みます?」
そう言って紙に書いた熟語を見せてきた。
ボクは訝しみながらも、その文字を両の目に入れた。 『爆破』 到底学校では、それも国語の授業中に出る言葉では無い。だがボクは何故か違和感が仕事をしなかった。
「さあ、お楽しみの始まりだよ。」
先程とは口調が違う撃子。ボクは急いで『気』を身にまとった。一瞬だった。ボクが辛うじて視界に入れたのは、さっきまでは楽しげにコソコソと授業中に好きな子の話をしている男子生徒。授業の内容がつまらなかったのか内職をしていた眼鏡の男子生徒。昨日のアイドルのライブの後日談で盛り上がっている女子生徒。そんなみんなを叱ろうと、声をかける先生。その全てが今目の前で全て全て全て全て吹き飛んだ。爆炎によって飲み込まれた。
「あぁあぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
「山本ぉぉぉぁぁあぉぉぁあぁぁぁぁあ」
目の前の惨状を必死に受け止めながら頭の片隅であやねが無事かどうかを考える。唯一の友人山本が吹き飛んでしまってもだ。これはある意味きよたの正常な精神を保とうと脳が無意識に行動した結果である。黒煙が立ち上がる。
ああ、また守れないのか。撃子。お前を殺す。
地獄と化した教室にきよたは翔毒を構え佇んでいた。
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