第12話 ハピネスニコニコ

なんで、あやねが生きているの?

えっえっえっえっえっえっえっえっえっえっ

えっえっえっえっえっえっえっえっえっえっ

脳が破壊される。確かにあやねの身体からは煙が立ち、その美しい美貌を焼いていたはずなのに、触ってみる。むにむにとした感触がある。

肌を焼かれているならむにむにとはならないはずだ。だが実際むにむにしている。もっと触ろう。むにむにむにむにむにむにむにむにむに。

あー気持ちーよー。

「触らないで!」

パチンとボクの頬を叩いた。まっ『気』でガードしたから痛くないんだけどネ!

おっふん。ボクは咳払いをしてあやねに話しかけた。

「あやね?なの?」

「きよた、私生きてるみたい。」

ボクは何も言わずに抱きしめた。ただ、力いっぱいあやねの存在を体で確かめた。

突然涙が溢れ出てきた。あやねはボクの涙を見て、もらい泣きしてしまったようだ。

あぁあやねぇあやねぇ愛してる愛してるアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイアイ

「あやねあやねあやねあやねあやねあやね」

ボクは言語化しきれないほどのあやねの愛を叫ぼうとしたが、あやねというワードしか出なかった。そしてあやねもボクに呼応するように

「きよたきよたきよたきよたきよたきよた」

ボクたちは共鳴した。

しばしの間共鳴し終えたボク達は、なぜあやねやひじやま、お義父さん。そしてお義母さんが元通りになっているのかコック達に聞いてみた。コック達曰く謎の老人が、15分前に来て

あやね達を治していったそうだ。

ほんとうにあいつはなんなんだ?

いやいやこの襲撃をやった理由はなんだ?

あれ程の力も持っているのに、反キノコ教に従うなんて...なにか別の理由があるのか?

……考えても仕方ない。とりあえずあやねは生きている。その他の家族も生きている。俺は1度絶望的と言える喪失感を感じた。

だが、生きているのだ。生きている限り、命がある限りボクは抗い続ける。そのためにはあの老人の言っていた『技を限界値まで極める』が今のボクには必要なんだ。

「お義父さん。このあと少しいいですか?」

「あぁ構わないよ。」


ー2時間後ー

コンコンコン

「失礼します。」

ボクは失礼のないように席に着いた。

「それで話とはなんだ?」

「はい、その件なのですが、この広大な土地の一部をボクに貸していただけませんか?」

「なんだ、そんなことか。いいだろう。自由に使いたまえ。」

「ありがとうございます。そしてここからが本題なのですが、ボクの攻撃に耐えれる人材を用意して頂きたいのですが...」

「うーむ。お前ほどの才を持つものなど、なかなかいないが、1人あてがある。頼んでみよう。他でもないお前の頼みだ。」

「ありがとうございます。……そしてすみませんでした。」

「なぜ謝る?」

「ボクは娘さんを守ることが出来なかった。己の力不足を痛感しました。2度もこのようなことが起こらないように精進します。今回の件は本当に申し訳ございませんでした。」

「もう良い。私も警備の見直しをしてみる。今回ばかりは仕方がないというものだ。」

「はい」

ボクはとても悔しかった。修行して守れるようになろう。しっかり生きていこう。

そう決意した。

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