第8話 らぶらーぶ

ボクは部屋に入って漂ってくる甘い香りにすぐに気づいた。この匂いをボクの部屋でも堪能したいので1度、あやねに用事があると言ってボクのキャリーバックから瓶を2つほど取りに行った。

「おまたせ!」

ボクは軽快にあやねへ呼びかけ手に隠し持っている瓶を隠し通すことが出来た。

くんかくんか。うーん。いい。もう一度

くんかくんか。はぁはぁ。こんなことしている場合では無い。ボクは急いで瓶の蓋を開き、あやねの部屋の匂いを詰め込んだ。2つ持ち込んだのは理由がある。1つ目は部屋で楽しむよう。2つ目は学校で嗅ぐようだ。相変わらず自分の用意周到さには感激してしまう。そんな自己満足に浸っていると、あやねが照れながら話しかけてきた。

「あの...この前襲われた時助けてくれて、あり がとう」

「全然平気だよ!むしろこんなにいい条件を出してくれたあやねのお父さんには感謝してもしきれないよ!」

「そう?なら良かった。あれ以来私きよたにどんな顔して話しかければいいのか分からなかったの。」

「そんなこと気にしてたの?ボクは気にしないよ。」

「……んふふっ。そうね、これからも私を守ってね。」

「ああ、約束する。必ず君を守る。」

ドフッ

体がベッドに倒れ込んだ。これはボクの意思で倒れ込んだのでは無い。その事実を確認し周囲を見てみる。だが上手く思考できなかった。なぜならボクの眼前にはあやねの顔いっぱい広がっているからだ。あやねの甘い吐息がボクの鼻腔をくすぐる。そんな思いに耽っていると、あやねはボクの耳元で囁いた。

「私…………あなt…きよたのことが好きなの。」

「ッッッッ!」 ボクはまともな返答が出来なかった。これまであやねに振り向いてもらうために様々な分野に手を出し、力を身につけていった。ようやく報われた気がした。

自然と涙が流れた。止めようと思っても止められなかった。あやねはそのことに気づき、オドオドとしたが、ボクはあたふたするあやねへと勢いに任せて、あやねの唇に接吻をした。

あやねは頬を紅らめてていた。きっとボクもあやねと同じ気持ちだろう。ボクの頬も紅くなっていただろう。

「あやね……ボクと付き合ってください。そして貴女とこれからずっと死ぬまで一緒に生きてください。」

「..はい。」

ボクはあやねの肌を湿らす涙を20分かけてぺろぺろと舐めて拭いた。

こうしてボク達は結ばれ、恋人になった。

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