第2話 肉薄

放課後の学校

それは学生にとっては青春のひとときである。

あやねはその美貌をオレンジ色で染めていた。

「本当に難しいわ、ここが難しいのよね...」

彼女は悩みに悩んでいた。

「どのキャラにしようか迷っちゃう……/////」

そう彼女はオタクだったのだ





「はぁ、勢いで告白したのはいいけど、結局どうしよう」

ボクは薄暗くなった教室で悩んでいた。

「まっいっか。やっちゃったことは仕方ないし」

ボクは荷物をまとめズボンにウジ虫が付いていないか周到に確認し、帰ろうと廊下を歩いていた。

「いや、やっぱりあやねさんに会いたい。」

今すぐに会いたい。会ってもっと深めたい。

ボクは荒ぶる想いを抑え彼女の元に向かった



冗談でしょ?

えっなんでここにあの変態野郎がいるのよ……

最悪だ。バレた。私の素がこんな変態野郎に...

「あやねさん?もしかしてそのゲームって

『 ねっとりとりどっぷり丼』のヤマモト?」

「えっ?きよたくんこのゲーム知ってるの??」

「知ってるどころか、僕このゲームの大会で

優勝したことあるよ!」

「えー!!そうなの!?好きなキャラは?」

「タママモンドル!」

「私も!!」

ボク達は『 ねっとりとりどっぷり丼』について時間が許すまで語り合った。

まさかあのあやねさんが、あんなマニアックなゲームしてるなんて驚きだったな。でもこれで話す話題ができたし、もしかしたらもっと仲良くなれるかもしれないな。

ボクは喜びを噛み締めながら眠りについた。

翌日、ボクは久しぶりに朝早くに気持ちよく起きることが出来た。これも昨日のおかげだな。

身支度をし、お気に入りのパンツを履いて、朝ごはんを食べ、歯を磨くのは面倒くさいからいい匂いのするミンティアもどきを口に放り込み家を少し早めに出た。



まさかあの変態最低野郎があのゲームやってるなんて...なかなかセンスがあるじゃない。

とりあえず今日は朝早くに委員会の会議があるから、早めに行かないと。ミストシャンプーで髪を整え、朝ごはんは最近太ってきたから、食べずに歯を磨き、制服に着替えて家を出た。

「いってきまーす」 「いってらっしゃーい」

何の変哲もない日常の中で交される挨拶をして

会議に遅れずに着くはずだったのに、あんなことに巻き込まれるなんて……


「あのきのこがよぉなめやがって」

その男は誰がどう見てもヤクザとしか言いようのない風貌をしていた。鍛えられた身体。

肉体美の完成系とも言えるだろう。そんな巨漢が、今美しい容姿を持つあやねとぶつかってしまった


ドテッ!

「い 痛たたた。」

「痛ってえな、どこ見てんだよお前!」

私は死を感じた。こんなか弱い私に容赦なく罵声を浴びせようとしているこの男の教養のなさを言動で感じ、私は暴力を振るわれることを悟った。そこからの私の判断は速かった。

「本当にごめんなさい。急いでて」

男の想定していた反応とは違ったのか、男は一瞬、狼狽えた。しかし私の顔を見るや厳つい顔が赤く染まった。

「おまえもしかして丸山家の娘か?」

「はい...そうですけど...どうかしました?」

男はチャンスだと思った。男はこれまで劣悪な環境で働いていた。なぜなら彼の勤務先のオーナーがその丸山家だったからだ。

男は感謝した。今までのうさを晴らすのにこの女は使えたからだ。

「おい、人様にぶつかってんだ。謝るにしても謝り方ってのがあるだろ?」

「本当にごめんなさい私急いでるんで、」

鈍い音がした。その直後私のお腹は鋭い痛みを訴えた。私の体は宙に浮き弧を描いて吹き飛んだ。華奢な私の体を逞しい男が痛めつけたのだ

「カハッ」 ドチュツ

口の中が鉄の味でいっぱいだった。その時初めてお腹を殴られたのだと理解した。そして初めて経験する暴力に私は意識を失いかけた。

(誰か、、たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて死にたくない………)

「おい、俺の女に何してんだ...」

意識を失う直前見覚えのある『アイツ』が私の前に立っていた。






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