### 第4話:運命の分岐点
激しい戦いが続く中、雷鳴は響たちの圧倒的な
数に立ち向かっていた。彼の攻撃は一撃必殺で
あり、次々と敵を倒していくが、仲間たちの包
囲攻撃も凄まじく、次第に疲労が溜まってい
た。瑠華は恐怖と不安の中でただ見守ることし
かできず、彼女の胸は痛みで満ちていた。
「雷鳴、私も戦う!」
瑠華は強い決意を胸に叫び、木の棒を握りしめ
た。
「ダメだ、瑠華!離れて!」
雷鳴の声が響く。彼の目には彼女を守りたいと
いう強い思いが浮かんでいたが、瑠華はその言
葉に耳を貸さなかった。
*
勇気を奮い起こし、瑠華は絞り出すようにその
場に駆け出した。彼女は周囲の敵に向かって振
り回したが、力のない自分の攻撃は響たちには
効かなかった。それでも、彼女の心には彼を守
りたいという一つの思いが宿っていた。
「瑠華、どこに行くんだ!」
響は彼女に目を光らせ、彼女が雷鳴を支えるこ
とを恐れていた。その瞬間、雷鳴が一撃を受
け、その隙に響が彼女に近づいた。
「お前、そこをどけ!」
響が冷たい笑みを浮かべながら瑠華に叫ぶ。
*
雷鳴は必死に瑠華を守ろうと動いたが、敵の数
は多く、なかなか彼女を護ることができなかっ
た。彼の身体に渦巻く痛みがどんどん増してい
き、次第に彼の動きが鈍くなっていくのを瑠華
は感じた。
「お願い、やめて!」
瑠華の声が掻き消されるほどの緊迫感に包まれ
ていた。
*
その瞬間、雷鳴は響の攻撃を受け止め、彼自身
が瑠華の前に立ちはだかる。彼の体に響の刃が
深く突き刺さり、雷鳴は悲鳴をあげることもで
きなかった。彼はそのまま前のめりに倒れこ
み、地面に膝をついてしまった。
「雷鳴!」
瑠華は叫び、彼の側に駆け寄る。しかし、雷鳴
は自らを必死に支えようとしていた。
「瑠華、ごめん…」
彼は力を振り絞って、彼女に微笑みかけ、自分
を受け止めるような目を向けた。しかし、彼の
体は壊滅的な痛みに覆われていた。
*
瑠華の心は引き裂かれそうになり、涙が頬を流
れた。
「雷鳴、だめ…!私を置いていかないで!」
「最後の力を振り絞って、君を守る…それが俺
の使命だ…!」雷鳴は弱々しい声で言い、必死
に立ち上がろうと試みる。
*
そして、彼は自らの闘志と共に、響に向かって
立ち向かう。雷鳴は最後の力を振り絞り、敵に
強烈な攻撃を放った。その一撃は響を直撃し、
彼は一瞬驚いたように後ろに倒れ込んだ。
「これが、俺の全てだ!」
雷鳴は最後の力で叫び、全力を出して響たちに
立ち向かっていく。
*
瑠華は涙を流しながら、その勇姿を見守った。
彼のその姿は、彼女の心に永遠に残るものとな
った。響たちは一瞬怯んだが、すぐに立ち直
り、仲間たちと共に雷鳴を取り囲む。
「もう十分だ、撤退しろ!逃げよう!」
響が指示をして、仲間たちとともに後退を始め
た。その様子に瑠華は安堵するが、同時に雷鳴
を失ってしまう恐怖が押し寄せた。
「雷鳴!」
瑠華は立ち尽くし、彼の名を叫び続ける。しか
し、痛みに苦しむ彼の姿を見ることができず、心
の底から不安が広がっていった。
*
響たちは撤退し、村へ逃げ帰っていく。その背
中を見ながら、瑠華は涙をこぼしつつ、雷鳴の
傍にいることができない悲しみを噛み締めてい
た。
「私のせいで…」
瑠華は胸を締め付けるような思いを抱えなが
ら、雷鳴の傍にひざまずいた。彼女は彼の手を
取って、彼が戻ってくることを心から願った。
*
雷鳴は息を切らせながら、彼女を見つめた。彼
の瞳には力強さが宿っていたが、同時に痛みと
疲れが色濃く映っていた。
「瑠華、君は強い。生きて、必ず生き延び
て。」
彼の言葉に、瑠華はその場に強くうなずき、心
に決意を固めた。今こそ彼のために、自分自身
も立ち上がる時だと感じた。
*
だが、彼の身体は限界に近づいていた。雷鳴は
意識を失いかけ、瑠華は強く彼の名前を呼び続
ける。
「雷鳴!頑張って、まだ諦めないで!」
その呼びかけに、雷鳴は微かに微笑んだ。彼の
心には彼女の強さが宿り、彼を最後まで支える
力を与えていた。
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