### 第4話:運命の分岐点

激しい戦いが続く中、雷鳴は響たちの圧倒的な


数に立ち向かっていた。彼の攻撃は一撃必殺で


あり、次々と敵を倒していくが、仲間たちの包


囲攻撃も凄まじく、次第に疲労が溜まってい


た。瑠華は恐怖と不安の中でただ見守ることし


かできず、彼女の胸は痛みで満ちていた。


「雷鳴、私も戦う!」


瑠華は強い決意を胸に叫び、木の棒を握りしめ


た。


「ダメだ、瑠華!離れて!」


雷鳴の声が響く。彼の目には彼女を守りたいと


いう強い思いが浮かんでいたが、瑠華はその言


葉に耳を貸さなかった。



勇気を奮い起こし、瑠華は絞り出すようにその


場に駆け出した。彼女は周囲の敵に向かって振


り回したが、力のない自分の攻撃は響たちには


効かなかった。それでも、彼女の心には彼を守


りたいという一つの思いが宿っていた。


「瑠華、どこに行くんだ!」


響は彼女に目を光らせ、彼女が雷鳴を支えるこ


とを恐れていた。その瞬間、雷鳴が一撃を受


け、その隙に響が彼女に近づいた。


「お前、そこをどけ!」


響が冷たい笑みを浮かべながら瑠華に叫ぶ。



雷鳴は必死に瑠華を守ろうと動いたが、敵の数


は多く、なかなか彼女を護ることができなかっ


た。彼の身体に渦巻く痛みがどんどん増してい


き、次第に彼の動きが鈍くなっていくのを瑠華


は感じた。


「お願い、やめて!」


瑠華の声が掻き消されるほどの緊迫感に包まれ


ていた。



その瞬間、雷鳴は響の攻撃を受け止め、彼自身


が瑠華の前に立ちはだかる。彼の体に響の刃が


深く突き刺さり、雷鳴は悲鳴をあげることもで


きなかった。彼はそのまま前のめりに倒れこ


み、地面に膝をついてしまった。


「雷鳴!」


瑠華は叫び、彼の側に駆け寄る。しかし、雷鳴


は自らを必死に支えようとしていた。


「瑠華、ごめん…」


彼は力を振り絞って、彼女に微笑みかけ、自分


を受け止めるような目を向けた。しかし、彼の


体は壊滅的な痛みに覆われていた。



瑠華の心は引き裂かれそうになり、涙が頬を流


れた。


「雷鳴、だめ…!私を置いていかないで!」


「最後の力を振り絞って、君を守る…それが俺


の使命だ…!」雷鳴は弱々しい声で言い、必死


に立ち上がろうと試みる。



そして、彼は自らの闘志と共に、響に向かって


立ち向かう。雷鳴は最後の力を振り絞り、敵に


強烈な攻撃を放った。その一撃は響を直撃し、


彼は一瞬驚いたように後ろに倒れ込んだ。


「これが、俺の全てだ!」


雷鳴は最後の力で叫び、全力を出して響たちに


立ち向かっていく。



瑠華は涙を流しながら、その勇姿を見守った。


彼のその姿は、彼女の心に永遠に残るものとな


った。響たちは一瞬怯んだが、すぐに立ち直


り、仲間たちと共に雷鳴を取り囲む。


「もう十分だ、撤退しろ!逃げよう!」


響が指示をして、仲間たちとともに後退を始め


た。その様子に瑠華は安堵するが、同時に雷鳴


を失ってしまう恐怖が押し寄せた。


「雷鳴!」


瑠華は立ち尽くし、彼の名を叫び続ける。しか


し、痛みに苦しむ彼の姿を見ることができず、心


の底から不安が広がっていった。



響たちは撤退し、村へ逃げ帰っていく。その背


中を見ながら、瑠華は涙をこぼしつつ、雷鳴の


傍にいることができない悲しみを噛み締めてい


た。


「私のせいで…」


瑠華は胸を締め付けるような思いを抱えなが


ら、雷鳴の傍にひざまずいた。彼女は彼の手を


取って、彼が戻ってくることを心から願った。



雷鳴は息を切らせながら、彼女を見つめた。彼


の瞳には力強さが宿っていたが、同時に痛みと


疲れが色濃く映っていた。


「瑠華、君は強い。生きて、必ず生き延び


て。」


彼の言葉に、瑠華はその場に強くうなずき、心


に決意を固めた。今こそ彼のために、自分自身


も立ち上がる時だと感じた。



だが、彼の身体は限界に近づいていた。雷鳴は


意識を失いかけ、瑠華は強く彼の名前を呼び続


ける。


「雷鳴!頑張って、まだ諦めないで!」


その呼びかけに、雷鳴は微かに微笑んだ。彼の


心には彼女の強さが宿り、彼を最後まで支える


力を与えていた。


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