第3話
「なんでしょうかお父様」
「お前、あの竜をどうするつもりだ」
「ルルは私のペットです」
「な?!」
「何を言っているのかわかっているのか!そこら辺にいる野犬とは話が違うのだぞ!!」
私は陛下に呼び出され1人で向かうと急にそんな話をし始めた。
そんなことがわかっています。
だけど私にはあの子が必要なんです。
私は魔術が使えない、だからルルを使えば私だって、もう兄妹に。
「それじゃあ私の召喚獣ということにします!!」
「...もういい。休暇が終われば学園に戻れ」
「...クッ」
陛下はいつだってそうだ。
私はいつも兄妹と違って才能がないからそうやって。
私だって努力したんです。
だけど、あまりにも私の兄や妹の方が才に恵まれていた。
「でも、ルルがいれば」
「お嬢様。ブルー様がお越しです」
「わかったわ。ルルの面倒を見てもらえないかしら」
「わかりました」
私はルルをメイドに面倒を見るように伝えるとそのままあの憎たらしい男に会いに行かなければならなかった。
執事に案内を頼むとそこには青髪のキザな男がいた。
名前はブルー・デルマント。
デルマント王国第二王子で私の婚約者だ。
もちろん望んだものではないけど、私はただでさえ陛下にはお荷物と思われている。
もはや子供とすら思われていないかもしれない。
だけど、それでもこの男は絶対に嫌だった。
「やあネアンテ。学園ぶりだけど調子はどうかな?」
「...何のようですか?」
「君、竜の卵を孵化させたんだって?」
「...」
「あれれダンマリか。そういうことなら」
男は立つと座っている私の顎を片手でクイっと上げると顔を近づけてくる。
私は顔を叩こうとするとこの男に手を掴まれる。
「面白いよ。やっぱり君は」
私はこの男を睨みつける。
だがこの男は爽やかに、そしてわざとらしく髪をふわっとさせる。
「あなたには渡しません」
「...そう。まあそんなことどうでもいいんだけど」
「ああ、そうだ。今度の2年生に上がる時のパーティーで一緒に出てよ」
「...ッ!わかりました」
絶対に嫌、だけどこれは国の将来を考えての婚約、私にどうこうする権限はない。
それに昔だったら帝国の方が立場は上だったが、戦争をあまりしなくなってからか軍事力だけ上がっていき、他のものはあまり成長しなくなっていった。
「ああ早く結婚して君のその顔を歪ませたいよ」
「...帰れ!!」
「はは!怒ったところも凄く可愛いぞ!」
なんなんだ、この男は毎回、毎回、狙ってやっているのか決まって私に何か起こった度にこうやってやってくる。
私がこれからのことを考えようとすると急に扉が吹き飛ぶと何かが突っ込んでくる。
「ルル?!」
「すいません!ネアンテ様。急にルル様が走り出して止められませんでした」
「いいえ。私もちゃんと手綱をつけておけばよかったわ。少し下がっていて」
「は、はい!!」
私はメイドを下がらせるとそのまま転がった状態のルルを少し地面に膝をつき見る。
綺麗な緑色の鱗、それに立派な翼と見る者に恐怖を与える瞳は私には餌を欲しがるペットにしか見えない。
だけど、私はこの子を利用する気でいる。
私が私であるために、バカにしてきた奴らを見返すために。
私が喉元を触るとグルルと音を鳴らしながら気持ちよさそうにしてくる。
手を出すと顎を手の上に置いてくると私はそのまま抱き抱える。
すると尻尾が引っかかっていたのか少し私のドレスのスカートの部分が捲れてしまう。
すぐにルルの尻尾を抑えるとすぐに服を整える。
ルルは近くに置いてあったクッキーを食べながらキュ、キュっと声をあげながら美味しそうに食べていた。
「もう、食べたんぼさんめ」
「キュー!!」
「なに違うって?」
ははは。何その人間みたいな言い訳。
というかこの子の気持ちが読み取れるのはなぜなのだろうか。
「ハニル。手綱持ってきて部屋に帰るわ」
「はい。お嬢様」
私はメイドに頼み手綱を頼むとそのままルルを持ち上げる。
まだ軽くて私でも持ち上げられるけど、いづれ大きくなってこの城よりも大きな竜になるのよ。
「なんて、母親みたいじゃない」
「...あ、ごめんなさい。悪気があって言ったわけじゃ」
「キュー?」
「気にしてないって。でも、確かにそう見えるわ」
私には理解者なんていらない。
いづれあの男と婚約破棄をして皇女の立場すら捨てて1人で森の中に家を立てて暮らすの。
ルルそのためにあなたを利用するわ。
たとえその後罰を与えられたとしても私は、
「キュー」
ルルが私の頭の上まで翼を広げて頭を撫でてくれる。
...嫌、な気はしないわね。
でもあなたは私のものなんだから、そんなこと他でしたらダメよ。
そんなことを思っているとルルは笑顔で私の方を見てくる。
「...私頑張るわ。だからルルも力を貸してちょうだい」
「キュー!!」
ふふふ。すごくいい返事。
この子が人間だったらすごくいい友達になってだでしょうね。
友達...ね。
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