虹色の劇団

@k0905f0905

第1話

「あーあ、オレもスターになりてえな」

観音寺公(かんのんじきみ)がブツブツ

いいながら学校から帰っていた。

「女の子にキャーキャーいわれてさあ。きっと

スターになればモテまくるんだぜ。知らねえけど」

公が頭の後ろで後ろ手を組みながら、友人の

田崎紘一にそうつぶやいた。

「なに? スターになりたい?」

すると後ろからやってきたクラスメートの

風蘭が公の後頭部をカバンで思いきり

叩いた。

「ああ、いってえな」

「寝言は寝てからほざきなさい。あんたがスターに

なれるんなら日本国民一億人全員がスターになれるわよ」

「ひでえこというな」

公がそう文句を言った。

「でもさ蘭のいうことももっともだぜ。おれたちが

スターになれるんならだれもきっと苦労なんか

しないだろうから」

「ねえ、これみて」

そのとき蘭がスマホのあるサイトをふたりに見せた。

「あなたが主役! 虹色の劇団へようこそですって。

アクセスしてみようかしら?」

「やめとけ、やめとけ」

紘一がすぐさま反応した。

「そんなサイト偽に決まってるよ。よしんば本物だとしても

高いチケット買わされて、一日12時間にも及ぶ

地獄のような猛練習が待ち構えてるんだ」

「あんた、やけに詳しいわね」

「へへへ、実は以前劇団に籍をおいていたことが

少しあって」

「現実は厳しいわね」

「ハア―――――――ッ」

三人のためいき。

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