第11話

「ゴホッ、ゴホッ」



 漂う粉塵に噎せながらも、瓦礫の下から何とか這い出す。

 偶々、瓦礫の隙間に入り込んだ事で命だけは助かった。

 だが全身の痛みが凄い。骨も幾つか折れているだろう。


 辛い。だが急いでこの場から離れないと。


 先程の魔法攻撃により、建物は全壊。

 それに伴い、木材などの可燃物が増加した事で、周囲の火の手が更に強まった。

 このまま此処に居ては焼け死んでしまう。


 だが気持ちとは裏腹に、体が思い通りに動かない。

 頑張れ俺!負けるな俺!

 自分を鼓舞する事で何とか立ち上がる。

 そして辿々しい足取りながらも少しずつ歩き始める。



「っ!」



 地に着く度、鋭い痛みが左足を襲う。

 これは確実に折れてるな。


 空を見上げると日が昇り始めた事に気付く。

 今は何時頃だろうか。

 分からない。徐々に思考も鈍ってきた。


 少し進んだ場所で頭から倒れる。

 もう駄目だ。体も頭も限界。動かせないや。


 ボヤけた視界の先には、最初に避難した森が映る。

 良かった。何事もなさそうだ。


 メリィさんは残念だったけど他の皆は無事だと良いな。

 早く皆に会いたいよ。


 駄目だ。もう意識が、、、。


 クレアさん、、、お兄ちゃん、、、みんな、、、。


 そして完全に意識を失うのだった。

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