閑話1
「改めて。久しぶりクレア」
「お久しぶりですギルフォード様」
「堅苦しいじゃないか。昔みたいにギルくんって呼んでよ」
「失礼にあたりますので遠慮いたします」
「相変わらず固いな。別にいいじゃないか」
「そういう訳にもいきませんので」
クレアの変わらぬ意思表示に、やれやれといった様子で溜め息を吐くギルフォード。
ここは応接室。
リリィと別れた2人はギルフォードの指示により、人目を気にせず会話できる場所へと移動していた。
「ところでどういったご用件ですか?」
「勿論。クレアと2人で話したかったんだよ」
「お戯れはお止めください」
「つれないな〜」
ワザとらしく肩を落とすギルフォード。
態度は相変わらず軽かった。
だが。
次の瞬間、真剣な表情に変わると、
重々しい口調でゆっくりと話し始めた。
「最近、人族どもの動きが活発になってきた」
「人族どもがですか?」
「そうだ」
驚きを隠せないクレア。
「一体、何の為に?」
「分からん。だが欲深い奴等の事だ。ロクな事ではないだろう」
「そうですね」
「父上達も話していた事だが、近々全面戦争になるかもしれん」
現在、魔族と人族の間では膠着状態が続いている。
その均衡が何時崩れてもおかしくないという事だ。
「奴等が拠点とする中央大陸から一番離れたこの場所なら余程安全だと思うが、万が一の時はリリィの事を頼む」
「かしこまりました」
一見、只のメイドにしか見えないクレアだが、その実は高い戦闘能力を誇る戦闘メイド。リリィのお世話だけでなく、いざと言う時の護衛も兼ねているのだ。
「じゃあ話は終わりだ。戻ろうか」
「はい」
「お待たせリリィ。さぁ遊ぼうか」
「うん!あのねあのね最近ね!」
こうして2人の密談は終わりを迎えるのだった。
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