第4話 これって何かの陰謀では、つか、ただのバグ?
さて、テストセンターにて支給されたガジェットを使い、存分にその性能を満喫? していた春香は、バイオショック(尿意)に苦痛の叫びを上げるのだが……
「だれか助けて~! もれちゃあうぅ~ううぅ!」
《Emergency call……》 ぷうーわっ、ぷうーわっ
《Emergency call……》 ぷうーわっ、ぷうーわっ
《緊急通報を受け付けました》 ぷうーわっ
『春香さま、いかがなされましたか?』
「みりゃあ分かんだろ、椅子がとれねえのっ」
『かしこまりました(ぽこっ、外れた音)」
両手で膝を内側に抑え込み、牛歩で用足しに向かう春香を見送るアナちゃん。
アナちゃんは、ブースに設置された立体映像装置により具現化されたAIにて、その身体的特徴はまだない、吾輩はAIである(そこそこ可愛いってことで)。
しばらくすると春香は、可愛いアナちゃんを睨みつけながら帰還する。
「おい、アナこお、ずっとしらばっくれてたのは、どういう事だ?」
『申し訳ありません、マスターからの応答が一定時間とだえますと、待機モードに移行する仕組みになっております』
「じゃあ、なんでさっきは反応したんだよ」
『それは《Emergency call》があったからです、通常は《okアナ〇〇》とか《ヘイアナ〇〇》とか、登録言語が含まれるコールがありますと、通常モードに移行いたします』
「なんだよ、どっかのパクってんだろ。つうかさ、おいアナキンでいいじゃあねえか」
『かしこまりました、では《おいアナ〇〇》を追加登録させていただきます』
「じゃあ、それでいいや」
『春香さま、そろそろガジェットの初期テストが、実行される時間になります』
「そうか、それじゃあ、また順番に装着しなくちゃな」
カシャカシャ、シュイーーン、ぱこ…… キュイーーーン
《各ガジェットの入出力チェックOK、システムスタンバイ》
「なんか、さっきと起動案内が違うみてえだな」
『春香さま、ご心配には及びません。私アナが、その都度アドリブでやっておりますので、お気になさらないで下さい』
「適当かよ! ダイジョブなん?」
『お任せください、臨機応変に対応できるよう特別に開発されたAIが、私には組み込まれております。万全です』
「まあいいか、で、そろそろ時間だよ、どうすりゃいいの?」
『あと9秒お待ちください』
「こまけえなあ、そういうとこは臨機応変じゃないのかよ」
『お時間です。まずはタッチスクリーン・テストです。ヘッドマウント・ディスプレイ(以下ディスプレイ)に映るタッチスクリーンのスタートボタンをタッチしてみて下さい』
「どうやんの?」
『実際に手を伸ばして触れてみて下さい。装着したハンドガジェットがその動作をキャプチャーして入力を助けてくれます』
「ええと、こうかな(ぴこ)」
『おk、きちんと反応してくれてますね。タッチスクリーンが遠かったら隅のところに手をかざして、アイコンが矢印になったら手前に引っ張り寄せたり、奥え押し込んだりできます』
「おお、なるほど、なんか普段使いのPCとやり方が似てるな」
『そのように設計されています。あと私アナにお申し付けくださっていただければ、色々なインターフェイスのオン・オフ・レイアウト変更も可能です』
「そうか、でもいちいち面倒だ、なんかさショートカットみたいなんあるん?』
『そうですね、おすすめはタッチスクリーンのオンオフでしょうか。試しにディスプレイの左下におなじのウィンドウマークを表示しておきます、それを2秒以上注視するかタッチすれば、オンオフを繰り返します。』
「(ぴこ・ぱこ)お~お、いいなこれ。こういうのって某14の自由に配置できるインターフェイスみてえだな」
『実際にそれをプレイされている春香様なら、すぐ理解と応用が可能ですよね。頑張ってください』
「ところで、開発中のゲームでも同じルールで使用できるんだよな」
『はい、もちろんです。基本メニュー(タッチパネル)の呼び出しは、今やったようにここでもできますが、開発中のゲーム内特有の操作は、インした後じゃないとできません』
『そうか、ところであれかな。キーボードとかゲームパッドも使えるんかな』
「もちろん併用できます。しかし、ものを取ったりめくったりなど、細かい操作はガジェットを使ったジェスチャーから行った方が便利です」
「そうか、ゲームパッドよりマウスの方が使い勝手が良い場合があるし、それとおんなじでジェスチャーの方が良いって場合もあるってことか」
『はい、本来は、ほぼジェスチャーとマイクによる音声入力だけで、ゲーム進行が可能なように設計されております。キーボード・マウスなどのレガシーガジェットは、慣れるまでの補助という扱いになります。ただし一定の場面では、レガシーの方がレスポンスの面で優れている場合が確認されておりますが、これからのテストで改善してゆく予定です』
「なるほど、やるじゃん、アナキンちゃん」
『ありがとうございます、そのように開発には報告させていただきます』
「で、次はどうすんの?」
『はい、ガジェットの初期テストをタッチして、プロフィール確認を行い順次進めていってください。分からない所があればお手伝いいたします』
「了解、これだな(ぽち)」
・申込時のプロフィールですが。お間違いないでしょうか?
《はい》 《いいえ》(いいえを選ぶと修正モードへ移行します)
性別 :female
年齢 :18才
希望勢力:関東管領
同 氏族:長尾家
なんたら:かんたら
以下略・・・・
「前見たやつじゃんか、okok《はい》をぽちっと」
・ゲーム内での性別は申込時のものからトランスレートしますか?
《はい》 《いいえ》
「トランスポート? つまり男子キャラで遊ぶか聞いてるわけだな。《はい》をぽちっと」
◇入力を終了して、情報を確認する 《はい》《はい》(ダブでタッチして下さい)
「ほうほう、はいのところを二つぽちればいいのね(ぽちぽち)」
《しばらくお待ちください(点滅)》
性別 :male
年齢 :18才
希望勢力:関東管領
同 氏族:長尾家
なんたら:かんたら
以下略・・・・
「ん? 性別がmaleになってんぞ、訂正訂正(ぽちぽち)。反応ねえし」
《しばらくお待ちください(点滅)》
「あ! なんか転送が始まったみたいだな」
『おめでとうございます。インされましたら必要に応じて私アナをお呼びください、ではよい冒険を……(エラーをバックレるアナちゃん)』
◇◇◇
場面は変わります
0X53koreakandesuyarol;あlkだop (ブーブ・ブーブ・ブーブッ!)
エラーコードと共にビープ音が鳴り響くコントロールセンターでは、PDの推田(おしだ)が眉間にしわを寄せてモニターを覗いている。
「おい見ろ川元、これはどういうことだ」
「ヘッドマウントディスプレイ内臓のセンサーが申し込みとは違う性別、つまり《MALE》と判断し《FEMALE》へトランスフォーミングされたと思われます。」
「つまりバグか?」
「いいえ、決してそういう事ではないと考えられます。内臓センサーの性別認識は本人からの申告を土台にしていますが、AIが学習しているビッグデータから過去のネット閲覧状況だけではなく、わが社の運営するゲームの過去データ、例えば会話の内容から本来(中の人)の性別判定にも引用され、照合しているんですよ」
「つまりあれか、ネカマやネナベ? も見分けられるってことか」
「そうですね、しきい値の設定は出来ますが、今のところそれもAIに任せています」
「そうか、ならこのユーザーは、女性で応募してきているが実際は男性であるから、それをAIが判定して女性へトランスフォーミングされたってことか」
「AIの判断が我々の仕様通りに動いていればそうなります。ユーザーはゲーム内ではリアルと別姓を希望と申請しているのですからね」
「そんな回りくどいことしなくても、アバター(プレイヤーキャラ)に男性を選んだなら男性でいいじゃあないか」
「そこはあれですよ、わが社は新技術の最先端を実装して、実用に耐えるよう開発するのがポリシーですからね、ですよね推田さん」
「まあ、そうだな、ここはこのまま様子を見ようか」
◇◇◇
つうことで、場面なサイバー世界(オープンワールド)へと変わります。
戦国時代双子というは忌み嫌われる。それは、一度に複数の子供を産むのは畜生腹も同然と言われ、嫌われておるのでした。
「よいか、そなたは今日から影じゃ、弟の影、景春となって生きるのじゃ(まんまなんだが)」
いきなりの突拍子もない申しように目を丸くする春香、これって昭和のアニメ特集の見すぎじゃね。早くも虎穴から脱しなければならないようだ。
で、どうする?
A:このまま寺で過ごす。
B:申し出を受ける
C:態度を保留にする
(Bを選ぶまで、場面はループする)
「インしたらいきなり寺に入れられてて、これだよ、しかも尼寺。オープンワールドだろ、色々選択肢があるんじゃねえのかよ。しかたねえ申し出を受けよう(ぽち)」
ぐわわわぁああ~ん(画面が変わる擬音)
「なんかが画面が、嫌な感じでてかてか点滅して、ぐるぐる回ってるんですけど、どうなる、どうなるぅ~?」
『アナがついておりまする、ご安心めされよ』
「なんかアナの言い方がへん、とっても不安なんですけどぉ~」
つづく
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