第5話 大下宇蛇児

条野「まったく… こんなのどうすればいいんですか。」


立原「輝子さんの無茶ぶりは相変わらずですね。」


条野「というか貴方、なんで私に付いてきているんですか?」


立原「だってこんなの俺には無理ですよ‼ ただでさえ難しい任務なのに俺はこんなことをしているのがポートマフィアにバレたら処刑じゃ済みませんよ!」


立原はポートマフィアの潜入捜査中に大倉輝子が呼びつけて、十日間マフィアではなく軍警として暮らすことになった。

しかしマフィアを抜けた訳ではない立原、もしマフィアの構成員に見つかったり報告されたりすればただでは済まないだろう。


条野「まあ確かに貴方は行動が制限されてしまいますよね。しかしそれを云ったら私と貴方が一緒にいる時点でまずくないですか?」


立原「うぐっ…でも…、でも一緒の方が良くないですか?」


条野「まぁいいでしょう。」


立原「因みに条野さんはどこか心当たりがあるんですか?」


条野「まぁ一人だけですが。」


立原「じゃあ教えてくださいよ~! 俺には無理ですよ~!」


条野「嫌ですよ…。じゃあこうしましょう、貴方が私が探している人を勧誘するのを手伝ってください。代わりに私が貴方の分も探すのを手伝います。」


立原「わかりました!ありがとうございます!」

立原「すみません条野さん、これどこに向かっているんですか?」


立原たちは海の上をボートで渡っていた。


条野「刑務所ですよ、元々私が収容されていた。」


立原「え゙⁉」


条野「どうかしましたか?」


立原「いやその…。気まずかったりしないんですか?、前にいた囚人とか看守とか。」


条野「別に悪い事しに行く訳ではないんですから、大丈夫ですよ。」


立原「条野さんがいいなら俺もいいっスけど… そもそもその会おうとしている人は安全なんですか?」


条野「まぁ大丈夫なんじゃないですかね。」


立原「そんな無責任な…。」


条野「まぁ強さは確実ですよ。」


立原「強ければいいってものでも無いと思いますがね。」


条野「これから行く刑務所は大犯罪を犯した者や物理的、もしくは立場的に普通の刑務所では収容できない者のみが収容されるとこです。」


立原(この人そんなところに居たのか)


条野「しかし彼の起こした犯罪は一件だけです。罪状も暴行罪と公務執行妨害です、しかし彼がここに収容されている理由はただ一つ、強いからです。」


立原「どのくらい強いんですか?」


条野「我々猟犬なら勝てますが、それ以外では勝てる者は少ないでしょうね。」


立原「そこまで…。」


条野「因みに彼の犯行動機は何だと思います?」


立原「え?何でしょう… 普通に相手がムカついたとか?」


条野「正解は、『福地桜痴と戦ってみたかった』です、まぁその前に輝子さんに倒されたんですけどね」


立原「なんか大丈夫そうですね。」


条野「そう舐めないほうがいいですよ、何というか本気を出してないというか…。」


立原「?」


条野「ほら、もう着きました、行きますよ。」

看守「お疲れ様です、どのような御用で?」


条野「面談を希望したいのですが、大下宇田児おおしたうだると云うやつです。」


看守「っ、彼ですか…。」


条野「よろしくお願いしますね、こちらはれっきとしたですから。」


看守「りょ、了解しました。」


立原(この人、権力を振りかざしまくってる…)


条野「アイツには散々いいようにされてきましたからね…。」


立原(しかも私怨!)

条野「久しぶりですね、大下さん。」


大下「誰だっけ、君?」


立原(小柄な体格の男子、しかし白の髪、赤い目、これは…)


条野「いわゆるアルビノ、というやつです。」


大下「ねぇねぇボクの質問に答えて~。」


条野「更に彼は左の目が一切見えないです。しかし右目は一般人並みに見えているっぽいです。」


立原「なんだか条野さんに似てますね。」


条野「私は両目とも一切見えませんがね。」


大下「無視しないでヨー。」


条野「そんな無視してほしくない貴方に良い話があります、貴方猟犬に入りませんか?」


大下「それなーにー?」


条野「今私が入っている組織です。」


大下「なんでボクなの? 面倒くさい。」


条野「あらそうですか、折角免罪される上に強い人たちにたくさん会えるのに…。」


大下「⁉ マジ? じゃあやる!」


条野「それじゃあこの書類達にサインを書いてください。」


大下「ほいほい… って多くない?」


条野「犯罪者を連れ出すってのはそれだけ大変なことなんですよ。」


立原「あの… 条野さん、この人どうやって連れ出すのですか?」


条野「ここの建物の人に任せます。何とかしてくれるでしょ。」


立原(さてはこの人サボり倒すために犯罪者選んだな…。)


大下「あってかお前条野か、 書いたよー。」


条野「やっと思い出しましたか。分かりました、じゃあ明日の朝までには迎えが来ると思うのでそれまでおとなしくしててくださいね。」


大下「りょおかーい。」

帰りの舟にて…。


立原「なんか、条野さん楽しそうでしたね。」


条野「そうですか?」


立原「なんか条野さんって犯罪者に対してとんでもなく強く当たるイメージがあったんですけど、優しく接していたし。」


条野「まぁ鉄腸さんよりは好きですね。」


立原「条野さんは全員がそうでしょう。そういえば、あの大下さんの異能力ってどんなのなんですか?」


条野「自分が持っている刃物から毒物を生成し抽出する能力らしいです。」


立原「何ですかその暗殺特化能力⁉」


条野「私たちのように異能による強化手術を受けていたり、そのような異能力がないと一発で殺されてしまう、ただ強いだけでは勝てない相手です。」


立原「でも彼は真っ向勝負が好きなんですか。」


条野「ええ、彼には…。」


立原「彼には?」


条野「魂に芸術性を感じます。」


立原「そうっスか、 あっそういえばこの後俺の分も手伝ってくださいよ。」


条野「貴方なにかしましたっけ?」


立原「まあまあまあ…。」


_____________________________________

オリキャラ紹介


名前・大下宇陀児


年齢・?


異能力・金魚は死んでいた


自分が持っている刃物から毒を出せる能力

毒の仕組みを理解していれば基本どんな毒でも生成できる


能力元ネタ・爪

猫と毒を使って人殺そうとする話

犯罪小説

結構スリルある





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