第3話 司馬遼太郎

末広鉄腸は本当に困っていた

理由はただ一つ、新人採用をどうすればいいか分からないのである


鉄腸「新人というのはどの様な人を見つければいいんだ?」


という彼の問いに対して、同僚である条野採菊は


条野「あなた位強くて、あなたよりも賢いひとですね

でもまぁ後者の条件はほぼ全人類が当てはまるので気にしなくていいですね」


云われ、真に受けてしまった


本来、彼は『隕石切り』と呼ばれる程にはとんでもない異能力者なのだが、ほかの隊員と比べて何も考えず行動してしまう節がある


鉄腸「強いやつを探すためにはどこに行けば良いのか… よし、とりあえず歩くか」

街の中心部にて… 民間人の悲鳴が響いた


鉄腸「何事だ⁉」


警察「‼ 猟犬の末広鉄腸さんですね? 銀行強盗です! できれば手伝ってください!」


鉄腸「承知した‼」

鉄腸「随分と人が多いな…」


警察「犯人たちは民間人を人質にとって立て籠っています 

ここら一体の警察は最近起こった鯨型飛翔兵器の後始末で駆り出されていたせいで、警察よりも犯人側のほうが多い状況になっています」


鉄腸「増援は来ないのか?」


警察「来ないことはないですが、おそらく相当時間がかかってしまいます」


鉄腸「となると、民間人の安全の確保を最優先に犯人を捕らえる方向でよいか?」


警察「はい、こちらの突撃の準備は既にできています」


鉄腸「では、行くぞ!」


警察たちは突入の際の作戦を立てていた

しかし彼らは末広鉄腸にその作戦が伝わらないことを知っていた

そして作戦など不要ということも…

鉄腸(民間人の安全の確保が最優先、ならば!)


彼がいきなり現れたことに驚いた銀行強盗達だったが、銃を持っていない以上こちらにすぐに攻撃することは不可能だと考えた

しかし彼の軍刀が伸びる、そして曲がる

その矛先は銀行強盗の銃やナイフを破壊した

そしてそのまま、人質を取っていた者に切りかかり、人質を解放する

そのころようやく入ってきた警察達が人質を解放する


そのまま周囲の強盗を全員倒した鉄腸は気が緩んでしまっていた

確かに彼は強盗を全員倒した


二階から数人の強盗と思われる者たち三人が飛び降りるのを窓から見た

しかも周囲には野次馬がたくさんいる

刀を何処かへ置いてきてしまった鉄腸では間に合わない

警察も犯人の制圧のために一人も外に残っていなかった


鉄腸(まずい、このままだと被害が拡大してしまう)


その時、一人の動く影があった

長い髪を一つにまとめ、背が高い男だった

しかし、武器のような物も持っておらず、正直いって貧弱そうな見た目だった

おそらく彼は他の人を助けるために前に出てきてくれたのだろう

しかし、このままでは彼が怪我をしてしまう


鉄腸「待て! そいつらは危険だ!逃げろ!」


その言葉は彼には届かなかった

彼の手の中に木刀が突如としてあらわれ、その刀を構えた

まずいと思ったのか一人強盗は彼を避けようとした

それを見逃さなかった男は一瞬の内に逃げようとした強盗の元へ間合いを詰め、一瞬で木刀を叩き込んだ

その攻撃を受けた男は吹っ飛び、銀行の窓を割り、鉄腸の横をすり抜け、壁一つに穴をあけた

その隙に逃げようと、もう一人の強盗が敷地外へ走り出した

男は周囲にあった石を拾った

それを投げた

いや、おそらく投げたのだろう

投げたかどうか、鉄腸ですら見えなかった

その石は100メートルほど離れた強盗の太ももに直撃し、貫通した

だが、その後ろにもう一人の強盗が銃を持って立っていた


強盗「武器を捨てろ、さもなくば撃つ」


強盗と男の距離は約10cm

常人が避けれる距離ではない

そう思い、鉄腸は走り出した

しかし、男は武器を離さなかった


強盗「テメェ 舐めてんのか!」


瞬間、強盗は発砲した

しかし、男には当たらなかった

左手を軸に回転して避け、そのまま蹴りを男の胴に入れた

男は宙を舞った


超人的な身体能力を目の当たりにした周囲は暫く動く事が出来なかった

警察官たちが強盗たちを連行している間…


鉄腸「貴公はすごいのだな、名は、何というのだ、あれは異能か?」


司馬「司馬遼太郎と申します、あれとは?」


鉄腸「木刀がいきなり出現したりとんでもない身体能力を持っていたではないか」


司馬「木刀は私の異能です、体は鍛えただけです」


鉄腸「鍛えただけであそこまでの力を得れるのか、俺も一応鍛えているが…」


司馬「後は技術の面もありますね」


鉄腸「技術、か… ちなみに異能力はどんな能力なんだ?」


司馬「武器を生み出す能力です、しかし30分経つか自分の意識外になると消滅してしまいます」


鉄腸「それは相当強力な…」


末広鉄腸、ここでようやく本来の目的を思い出す


鉄腸「あの…もしよければ我々の部隊に入らないか?」


司馬「我々?あの処理をしている人たちですか?」


鉄腸「いや、そういえばまだ名乗っていなかったな」 


司馬「まぁ確かに、あなただけ他の人よりも強そうですしね」


鉄腸「俺は猟犬部隊の末広鉄腸というものだ

只今新たな人材の確保に勤しんでいる

あなたは強さ的にも精神面でも猟犬足りえると思われる

よってあなたに猟犬の採用試験を受けていただきたい」


司馬「ぜひ、喜んで」


鉄腸「いいのか? 自分から言ったことだか、仕事とかは大丈夫なのか?」


司馬「まぁ私は定職についていないからですからね、どうせやる事なんて修行しかないですから」

 

鉄腸「では、明日またここに来てくれ、そこから俺が案内する」


司馬「分かりました、ありがとうございます」


諸々の書類を途中で無くしたとは言えない鉄腸だった


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オリキャラ紹介


名前・司馬遼太郎


年齢・24歳


能力・坂の上の雲

武器を創造する能力

自分が武器だと思っている物は無条件で創造できる

しかし30分経つか自分の意識外になると消滅してしまう


能力元ネタ・坂の上の雲

日露戦争辺りの話

秋山好吉、秋山真之、正岡子規を中心に明治維新など激動の時代をえがいた

遺言で本人がこれだけは映像化するなと言ったのにどっかのNHKが映像化した

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猟犬採用試験 銅 円香 @harumamasiko

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