第6話 ブドー陸軍演習で無双する
「おらおらチンタラやってんじゃねーぞ!!天下のトヨス帝国陸軍が1人相手にもう終わりか」
鬼の形相で仁王立ちするブドー第1皇子。
陸軍東地区演習場に立っている者は、観客席を除きブドーのみだった。
陸軍合同軍300人はたった1人の男に、虫けらの如く叩きのめされ、ボロ雑巾の
ように泥まみれで倒れている。
**********少しだけ遡るすこーしな
陸軍東地区演習場
ブドーの住む皇帝宮殿から東へ5km
帝国学園も宮殿から東へ2kmの距離だから、学園から3kmってとこ。
演習場規模はやたらデカイ
(テンポ重視はしょります)
「おい今日はどーなってんだ」
「あーやたらギャラリー多い1,000人はいるだろ」
「あの制服学園生だよな」
「生徒達を観客に連れてくるとは殿下にしては珍しい」
「お、おいあれ貴賓席に座ってるのジュン侯爵令嬢様では」
「うーわ超綺麗だーーー」
「おいお前らその辺にしとけ。学園外だから不敬罪適用されるぞ。1ヶ月別荘行くか」
と陸軍兵士それぞれがくっちゃべってる。
「まあどっちにしろ、観客多くやる気出てるのは良いことだな。」
とベテラン軍曹が呟く。
「お~い、こちとら何時でもいいぞー。さっさっとかかってこいやぁ~」
転生前のブドーも使えた身体強化魔法。それを済ませた今100m2秒で走れるw
「魔法は身体強化以外封印だ。持ち前の武力に大蔵柔術の格闘術も加えてみるか。どっちにしろこの木造槍&剣(模擬戦用)と素手で制圧する。それ以外の武器は相手から奪う。止めは差せないからw速度重視でKO判定取りまくりますか」
「かかれーーー」
機動力と突破力を活かし、魔道戦闘馬部隊100騎が正面・左右・後方に向かいブドーを包囲しにかかる。
「そんなのお見通しっす!!ウリャーー」
反時計回りに爆走するブドー
あっという間に敵左翼を槍で薙ぎ倒す。
昭和の蛍光灯?を使った簡易な電光掲示板に次から次とKO判定が下される。300あった陸軍側の電球が左翼の崩れで30個消えた。
戦闘馬部隊隊長が指示を変更。
「正面部隊左旋回レーザ砲発射、後方部隊包囲は無しだ。右翼と共に右から回り込みレーザー砲自動照準用意!!」
レーザー砲模擬戦弾はスペック全て一緒だが、命中しても当然ダメージは無く、KO判定されるだけ。
マッハ50の速度を避ける事など不可能なので、ブドーは右手に槍を左手にレーザー防御盾を持って対応。
右回りで爆走してるのは、常に左手盾を敵のレーザー砲に向ける為だった。
まあそれが出きる時点で人間じゃないが。
「流石隊長だ包囲諦めレーザー砲乱射にきたか。想定内だがな~行くぞウリャ~!!」
敵左翼を抜け出したブドーは防御盾を背中にくくりつけ、空いた左手に木剣を持ち魔道剣術部隊に突入した。
「ウリャウリャウリャーー左の剣右の槍受けてみろやぁ~」
剣術部隊が邪魔になりレーザー砲が撃てない戦闘馬隊
「くぅーやられた真っ先に遠距離攻撃の我々を潰しに来ると思ったが、まさか自ら囲まれにいくとは…あれでは味方が邪魔で撃てん」
元々剣術槍術武術等は帝国1を誇るブドー。しかも身体強化をかけ速度で圧倒しながら槍でまとめて薙ぎ倒し、剣で確実に屠っていく。
電光掲示板の敵数が80個減った。
「剣術はこの辺が潮時だな、ほんとに厄介なのは間合いの長い槍共だ。2nd STAGEに移るか」
背中の盾を左手に構え直し一番近くにいる戦闘馬に爆走。
「なっ、なんだこっちに向かって来るぞ」
慌てて自動照準装置をオンにし、レーザー砲を乱射したが全て盾に阻まれ、そのまま槍の餌食になる。
「グハッ」倒れた敵を後ろから抱え込み同時にレーザー砲を戦闘馬部隊に向ける。
そう戦闘馬は登録者以外に反応しないので、気絶した敵を壁にして生体反応を利用する。
「なっ!!そんな馬鹿な!!総員レーザー防御盾用意、大至急だーーー」
まさかレーザー砲が自分達に向かってくるとは誰1人思ってもいない。
自動照準発射で残弾全て撃ち終わった時、 70人残ってた戦闘馬部隊は隊長1人になっていた。
「隊長!!勝負だーーー」
レーザーは撃てなくても走る事は出きる。
隊長もブドーに向かい自動発射しながら突進する。
「いいねぇ、あの隊長イケイケだからねぇ、向かってくると思ってたぜ。その性格嫌いじゃないよ。遠距離攻撃の利点を活かさない、隊長としては失格だがなw」
「おおおおおおー」
「ウリャーーーーー」
戦闘馬同士激突寸前、両者物理的運動力で模擬戦初の死者が出る雰囲気。
「「「きゃーーーーー」」」
「「「殿下避けてーーー」」」
観客席から黄色い悲鳴があがる。
「ウリャーーー大蔵柔術秘伝・空中飛翔格闘術」
戦闘馬から思い切り蹴り上がり、空中で前転しながら隊長の胸ぐらと左腕に掴みかかる。パワー&速度も乗ってる攻撃になす術もなく戦闘馬から引き剥がされる隊長。
「おっとやべぇ、味方殺しちゃ父上に座敷牢行きを命じられる」
自分の全身を使い隊長の頭を守りながら受け身を取るブドー。
無事立ち上がると生存確認、気を失ってはいるが息をしてるので安堵する。
「よし遠距離攻撃壊滅っと残り120。槍がまんま100人か」
勝負はここからだなとばかりに「ウオーーーー」と1発気合いを入れた。
**********
「なあジュン。殿下1人で本当に勝ちそうなんだが。」
「まったく呆れますわね。でもあれが殿下ですわ。」
「いやしかしいくら何でも魔法無しで300人を120人まで減らし、魔道戦闘馬部隊100騎を壊滅させるって、呆れるとかのレベルじゃないよな。」
隣に座り観戦してるのはジュンと双子の兄、侯爵家 次男
イエマーサ・フォン・トクガーワ(18歳)
ブドーの従兄弟である。
**********
「さあお待ちかね最終STAGE行っちゃいますか。模擬戦用の剣と槍は魔道石使えないから、同じ条件の木剣木槍ってのが俺のアドバンテージだ。120人程度なら1分30人として目標4分、2秒で1人か楽勝だなw」
…呆れた男だ。
「その前に俺のパワーじゃ木剣槍が持たねえ。片っ端から折れるから、さっき魔道剣術部隊で拾った剣を使わせてもらうかな。槍はその都度奪えばいいだろ」
「来るぞ…とにかく包囲するんだ右翼30左翼30、正面40と連携しながら左右に広がれ」
「おおーーー」
「ふっ遠距離攻撃無しの包囲戦なら日本でもお手の物っす。剣と槍に体術、こっからは俺の庭みたいなもんだ。
3連覇した実力、たっぷり味わってくんなましと来たもんだ行くぞー」
ブドーが剣5本をたすき掛けした背中に差し込み、両手に5本ずつ木剣を持って、物凄いスピードで突進していく。
その先はなんと
「えっ嘘、1番備えが厚い敵正面!!」
「ははは次から次と訳わかんねえ」
金髪縦ロールと兄イエマーサが驚愕するが、最も戸惑ったのは正面40の槍部隊。
「ぐぬっ!!囲まれにきた、セオリー無視か。左半分で槍襖、残りは上から叩き下ろせーー」
槍部隊隊長も瞬時に的確な指揮を取る。
「ハンバーーーグじゃない、あまーーーい。胴体がら空きだぜぇーそらよっと」
何とブドーは槍襖を無視、叩き込むため槍を振り上げた1団に向け、持ってる木剣をフルパワーで投げた…そう投げやがった…
「ゴホッ」「うぎゃ」「痛てぇー」
ブドーのフルパワーで投げられた槍が唸りをあげ、ドスンという音を残し8人が離脱。残りの人間も剣の間合いに踏み込まれブドー剣術、膝蹴り、肘の当身で次々と刈り取られる。
隊長の怒号が響く
「槍襖解除!!後方に回り込まれてる、反転しろーー反転だーー背中を見せるなーーー」
「遅い」
倒れた敵の槍を拾いブドーが後方から槍襖を襲う。
「ギャーーー」「ヒィーー」
「バ、バケモンだぁー」
バキッ ドス
「グウッ…み・ご・と・だ…」
隊長の左腕を叩き折り、下から上へ強烈な槍打撃を脇腹にぶちかました。
僅か1分ちょい槍部隊正面40人壊滅。
「指揮官のいない槍部隊残り60人。しかも左右に30人ずつ別れてるw各個撃破してくれってか」
左翼30右翼30を2分で仕留め残りは剣術部隊20人のみ。しかも指揮官は最初の戦闘でキッチリ刈り取っている。
剣術でブドーが帝国内で破れたのは中等部2年(14歳)が最後で、相手は父親ムサーシ・フォン・トヨス6世帝国皇帝陛下。
槍部隊壊滅から僅か50秒後
「おらおらチンタラやってんじゃねーぞ!!天下のトヨス帝国陸軍が1人相手にもう終わりか」
**********
あまりの衝撃に静まり返る陸軍東地区演習場。
「残り120人から全滅まで約3分50秒か…予想通りだが魔法無しじゃこれが限界だな。」
「それじゃあ後処理といくか。我が帝国の大切な兵士達だからな」
ブドーは比較的軽い負傷兵(主に魔道戦闘馬部隊)等に声をかける。
「これから光魔法を使うから全員このまま訓練場から出ないように。」
「はっ恐れながら殿下、陸軍回復部隊の魔道師を5人待機させていますが?」
「あーいやなに自分が仕出かした事だから、自分で面倒見ようと思ってなw」
「はあしかし光属性を殿下がお持ちとは初耳なのですが。」
「うん今初めて話した」
「はい?」
「まあいいめんどくせぇ、やるぞほれ」
軽く右手を動かすブドー。
その瞬間眩い光が場内に溢れかえり、全員が純白に包まれ幸福感を感じる。
時間にして20秒程で倒れていたボロ雑巾いや失礼、帝国兵士達が全員、信じられないと困惑した表情を浮かべていた。
「な、治ったのかな?」
「確かに痛くない」
「おい動くぞ!!俺の右手が動くぞーー」
槍部隊隊長は体を擦りながら「信じられん。左腕と肋骨の激痛が消えた…」
「まさか今のは上級魔法のエリアヒール?しかも無詠唱・杖無しだったわ」
青ざめる金髪縦ロール。
「1度だけエリアヒールを見たことがあるが、こんなに眩しく無かったし広範囲でも無かったぞ…」
イエマーサが震える声で返す。
「何を言ってるの?まさか特上級」
「………」
双子の妹の問いかけにイエマーサは答える事が出来ない。
特上級魔法の使い手ともなると、人口1億人の帝国にも100人程度しか居ないからだ。
「まっ、こんなもんだろ。さあ何時までもボケーとしてるんじゃねー。お待ちかねバーベキュー大会始めるぞー」
「「「「「………」」」」」
「お~い正気を取り戻せー。麿は腹ペコでおじゃる。肉を所望するのでおじゃるじゃるw。サクサク支度しろ!!これは帝国皇族命令であるぞ!!!」
「「「「「はっ、かしこまりましたー」」」」」
公爵ですら逆らえない帝国皇族命令を、バーベキューの準備に行使する皇族はブドーが初めてだったww
ごめんなさいm(__)m
楽しいBBQの様子も書きたいのですが、本作品はテンポ重視ですので割愛させて頂きます。
ーーーーーーーーーー
(陸軍演習場)
ブドーの住む皇帝宮殿から東西南北5kmの距離に4ヵ所ある、陸軍基地内の1部敷地を専用演習場として日々鍛錬に使用している。
宮殿の4方向を守るため初代皇帝時代に作られた。
(基地面積)
1辺が3kmの正方形
900万㎡=900ha
分かりやすく言うと
東京ドーム約192個分
う~んわかんねえwとにかく広い。
因みに演習場は1辺1km
=100万㎡の正方形。
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