豆ねこ発明!
紫吹 橙
癒しは大事だよね
「やった!やっとできたー!沢山徹夜した甲斐があったよ!よろしくね『豆ねこ』」
『豆ねこ』とは、私が発明したロボットである。人の手のひらにちょこんと乗れるサイズで、ねこの形をしている。
作ろうと思ったきっかけは私が猫アレルギーだということからだ。猫が大好きで触りたいし間近で見たいのにそれをしようと思ってもアレルギーで叶わない。
犬も好きだが、猫でしか得られない癒しが欲しい!そう思って私自身で発明しようと思い至ったわけだ。
元々何かを作るのは好きだったし、材料や道具もあったしそれの延長だと思えば苦ではなかった。
初めて自分の生まれた環境に感謝をしたくなるほどだった。おかげで自分で一から作って完成させるまでできたのだから、発明をするのが好きな家系に生まれて良かったのかもしれない。
『ヨロシクにゃ!』
豆ねこが話し出した。自分で設定をして人間の言葉も話せるようにしておいて正解だったな。
「少し撫でてもいい?」
『にゃ』
音声に反応してこくりと頷いた。
その姿がたまらなく可愛い。撫でても陶器だから本物のようにもふもふではない。けれど、ゴロゴロと鳴るしなにより小さいのが素晴らしい!
手のひらサイズにして良かった……
そうして時間が経つと豆ねこが
『にゃーにゃー』
と鳴き出した。
「もしかして試運転だったからバッテリー切れ?はい、どうぞ」
私は豆ねこの前に小さな豆を数粒お皿に出して置いた。豆ねこのバッテリーだ。
豆の形にしたのは名前が豆ねこだからという理由。
まあ、豆ねこは総称だしこの個体にも名前をつけないとね。この先も量産するつもりだし。
あっ、プレゼンして売ってもらうようにするとか?私のように猫アレルギーでも猫を飼いたい人もいるだろうし。
って、名前考えないとな。
うーん……
「よしっ、君の名前は大福だ!」
私は豆ねこを……いや、大福をかかげて言った。
『なまえうれしい!』
正直豆大福から連想したのだが喜んでいるようだし、良しとしよう。感情とか作られたものかと思うだろう。
しかし、少しでも感じたものの言葉を発するようになっている。だから、嬉しいという気持ちも本当なのだ。
「にしても本当に可愛いねえ。色も相まって豆大福みたいだよ〜私が作ったんだけど!」
触りすぎていたら、少し指に感触がきた。
甘噛みをされているような感触が。
そういうところもこだわって作った甲斐があったなあ。甘噛みが気持ちいいって本当だったんだと思うとなんだか嬉しくなってくる。
『触りすぎにゃ。あとごはんもっとほしいにゃー』
「ごはんはまた数時間後でーす」
『んにゃー!』
威嚇もされたけれど可愛いので全然怖さを感じない。バッテリーはまた少なくなってきたらあげるので今威嚇されてもどうしようもないのだ。あげすぎても良くないからね。
爪もたてていきそうな勢いだったけれど、たてられたところで痛くはないから大丈夫だ。
は〜これから一緒に過ごしていけるの楽しみだな。
ポケットにいれてお外で散歩したり、仕事に疲れた時に癒してもらったり……ワクワクなこといっぱいだー!
豆ねこ発明! 紫吹 橙 @HLnAu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。豆ねこ発明!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます