第3話 初恋の相手じゃない姉とデートする今日この頃

色々あって、姉とデートすることとなった俺は、ショッピングモールに向かった。

「着いてくるがいい、我が弟よ」

「どこに行くつもりだよ」

「服を買いに行こう」

「まあ、別にいいけど」

ショッピングモールに着いた俺たちは、服を買いに行くらしい。


スタスタスタ

「我が弟よ、ここに良い服があるぞ。ちょっと着てみるから、感想を述べよ。」

「はいはい」

姉はそう言って、似合いそうにもないワンピースを手に取り、試着室に向かった。


ガラガラガラ

「どうだ?」

「うんうん似合ってる似合ってる(棒)」

「お前、そんな適当な感想じゃ女は寄ってこんぞ」

「別にいいし、寄ってこなくても」

「なぜだ、それじゃあ今日のデートの意味が無くなるではないか」

「え?このデートに意味なんてないだろ?」

「我が弟よ、このデートはモテオーラを放ったお前のための予行練習だぞ。昨日言ったじゃないか」

「そんなこと言ってたな」

「まぁとにかく、今日我らはいわゆるカップルというものになりきればいい」

「めんどくせー」

「そう言わずに付き合え、ここに来た意味が無くなってしまう。お前の女受けが悪くなったら、我は悲しくなるからな」

「はぁ、今日だけだぞー」

「そう言ってくれたら助かる。」

姉ちゃん、俺の事心配してくれるのはありがたいんだけど、余計なお世話って言うか。いつも過ごしている姉とデートの予行練習をするなんて、意味があるのか。僕はそう思った。

「我が弟よ、我を好きな人と思って評価しろ」

好きな人、か。僕は昔の水野さんのことを目をつぶって想像した。美しい黒髪のなびく姿、そしてあのスタイル。

僕は目を開けた。

「ボヨヨーン」

「うぉ!?」

だめだぁー!姉ちゃんのビックなバストで水野さんと照らし合わせて見ることが出来ない...他の人と照らし合わせてみると、案外姉ちゃんデケェんだな。でも、家族だからかもしれないが、えろいとかそういう感情にはいっさいならない。むしろ下品に思えるくらいだ。

「どうした?そんな驚いた顔して」

「いや、なんでもない」

「で、この格好。改めてどう思う?」

「うん、大人っぽくていいと思うよ」

本当は下品って言いたいけど、なんか言われたら面倒だから言葉を柔らかくして伝えた。

「それはどういう意味だ」

「えっと、深い意味はないよ」

「お前、嘘をついているな」

「え?いやいや、嘘なんて」

「フッ、どうせこの胸を見て、好きな人と照らし合わせることなんでデキネー、とか思ったのだろう。我の人間観察力、舐めるなよ」

「す、すみませんでしたー」

ふぅ、下品って思われていることはバレずにすんだみたいで良かったー

「またなにか隠し事をしておるな」

「ギクリッ」

俺の姉ちゃんすげー...


「ありがとうございましたー!」

俺たちは会計を済ませて店を出ようとした。

「落ち着いてられるかー!」

誰かの叫び声が聞こえ、俺は咄嗟に振り返った。あ、あれは水野さん?水野さんは、物凄いスピードで店を出ていった。というか水野さんこの店にいたんだ。気づかなかったなー、、、

ふむふむ、そういう事か。湊音の姉、和泉若叶(いずみわかな)はあの女を見ていた我が弟を見て、全てを理解した気がした。


※※※


時は遡り5分前、、、


「彩ーこのこの服もよくなーい?」

「そうだねーよし、着てみるか。」

「雫がこんなにも好きな人に本気になれるなんて、なんか意外だわー」

「え、なんで?」

「雫って、なんか恋愛興味無さそうだと思ってたから」

「じゃあなんで私が好きな人がいるって気づいたの?」

「それは長年生きていた勘的なやつだよ、キラリン」

「へー(棒)」

「それよりさ、なんか進展あった?」

「うーん、まだ全然」

「そっか...まあまだまだこれから先は長いからね」


「うーん、大人っぽくていいと思うよ」

この声は、、、。私はそっと目線を声の方へ向けた。うわぁーお、びっくりー和泉くんだー。

って、えええええええーーーーー!?←時間差

私は必死に声を殺して心の中で叫んだ。

「トントン、あそこに和泉くんいるよ、ねぇ、なんで?」

「なんでって知らないよ。で、どうするの?声掛けにいく?」

「いや?あんまり関わりない女子が〜?急に話してくるのも〜?怖いと思うし〜?やめとこかな〜?」

「その調子だと一生関われない可能性もあるよ、」

「まあ、とにかく今日は早く帰ろ」

「あれ、というか。なんで和泉くんはこんな所にいるんだ?もしかしてデートとかー?」

「いやいや、今フリーだからないって」

「あ、ちょっとこっちきて」

私たちは和泉くんがこちらの方向に歩いて来たため、物陰に身を潜めた。

「えー?!」

歩いてきたのは、和泉くんだけではなく、女の人と一緒に歩いてきた。

「あの女、だれ?」

「さぁ?彼女候補じゃない?なーんかあの人でっかいねー、もしかして和泉くん。あーゆーのがタイプなんじゃない?」

「そんなわけないでしょー!」

「冗談だって雫。まあまあ、落ち着いて」

「落ち着いてられるかーーー!!!」

そう言って水野雫は去っていったのであった。

「ちょっと、待ってよー!」

「お客様ー!お会計お願いしまーす!」


こうしてモヤモヤした気持ちのまま、学校に向かうのであった。


※※※


次回、初恋の相手にモヤモヤしていた今日この頃。



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