第1章 距離感バククラッシュ

第2話 初恋の相手を想像した今日この頃

「どういう事だよぉー!」

俺は今、初恋の相手がイメチェンしていた事実を知り、混乱している。そんな気持ちのまま家に帰り、自分の部屋のベッドの上で枕で口を塞ぎながら叫んでいた。

「水野雫です。」この言葉が、頭の中で再生される。声が昔と違って透き通った感じがなかったなー。でも思い返してみると、なんとなーくだけど似てる気もするなー。

「あぁーもうモヤモヤするぅー!あっそうだ!」

俺は咄嗟に秀也に電話をかけた。


「プルルルル、プルルルル」

「ガチャ」

「もしもし」

「もしもし、みなっち。どしたん?話聞こかー」

「それもういいって笑。それより、気になったことがあってさ」

「いいぜー、なんでも聞いてくれー」

「あのさ、水野雫って覚えてる?」

「えっと、あのギャル?おれあの人苦手なんだよねー」

「水野さんって中学校の時いたの覚えてる?」

「うーん、いたっけ?」

「2年の時に転校した子」

「あーでもそう言われてみればいたようないなかったような」

「あの人昔は黒髪でThe清楚って感じだったんだよね」

「まじ?あの見た目で?ギャップえぐ〜」

「その見た目のとき、俺は水野の事が好きだったんだ」

「ほうほう」

「でもイメチェンして、ギャル化してからはなんか冷めちゃったっぽいわ」

「みなっち、まだまだ分からないぜ。根は昔の水野さんだと、俺は思うぜ。またみなっちが水野さんのことを好きになったとしたら、両思いなんじゃない?」

「は?どういうことだよ、俺の事を水野さんが好きなわけないだろ。」

「チッチッチ、みなっちと目が合った水野さんの顔、見てなかったのかよ?あれはもう乙女の顔だったぞ〜」

「あ〜確かに驚いてた気がするな」

「まあみなっち、色々ガンバ。俺は応援してるぜ。それより今日も川崎さん可愛かったよなーお前と仲良くて羨ましーぜ。」

「お前はいっつも川崎のこと気にしてるよなー。まあ確かに可愛いけど」

「またみなっちと俺と川崎さんと、あと水野さんで遊びに行けたら良いなー」

「そんなの叶わないって」


※※※


一方、水野雫は、、、


「なんであんなにかっこよくなってるのよー!!」

こちらも枕に向かって叫んでいた。

「あー、何だか和泉くん、別人みたいだったなー。そうだ彩に電話して、このモヤモヤ発散しよ」

「プルルルル、プルルルル」

「ガチャ」

「もしもし彩〜」

「なにー雫ー。」

「ちょっと相談ってゆうかなんというか」

「あ〜だいたい予想ついたわ」

「え?」

「雫、あの男子のこと好きでしょ」

「えっ?いや、す、好きとかじゃないから」

「まだ誰って言ってないよー、雫わかりやすすぎ。どうせ和泉くんでしょ」

「なんで分かるの?」

「だってずっとチラチラみてたじゃん、」

「はぁー私そんなにわかりやすいのかーなんか残念」

「まぁ和泉かっこいいしねー。雫が好きになる理由もわかるよー」

「和泉くんってさ、転向する前の中学校にいたんだよね」

「そうなの?!じゃあ惚れ直したみたいな?」

「いやー、それがさー、、」

——昔の和泉湊音を説明中——


「えー!あの見た目で太ってたのー?!」

「そうなんだよねー。昔は好きって感じじゃなかったんだけど、なんか別人みたいになってたからさ。」

「今日言ってた二目惚れって言うのはそういう事だったのね」

「そうだよ」

「なるほどね〜。ふーん。へー。」

「な、なによ」

「なんでもない。まぁがんばって。応援してるからね」


※※※


次の日、、、


「おはよう湊音!」

「おう、おはよう川崎」

「昨日から思ってたけど、湊音また痩せなかった?なんかスリムになった?」

「そうだな、この休みで5キロは減ったと思うよ」

「えー!そんなに!そんなダイエット出来るなんて、一体何が湊音をそうさせたの?」

「内緒。」

「もしかして、好きな子出来たとか?それだったらこの学校の子なんじゃなーい??」

「そんなんじゃねえよ」

「えー、もしかしてだけど、私に惚れちゃったとか?」

「それはいちばん無い。」

「なんか素っ気なくない?気のせい?」

「たぶん気のせいじゃない」

━━━━━━━━━━━━━━

「雫、なんかあの2人、仲良くない?あなたの湊音くんが取られちゃうかもよー?」

「彩うるさい」

でも本当に仲がいいなぁ。それに名前呼びしてるし、川崎さんらうらやましぃ。え、もしかして、、、

「まって、川崎さんと和泉くんってもしかして付き合ってる?」

「わかんない、でも恋人って言うよりかは友達っぽいけどね」

「みなっちのことがどうかしたんすか?」

「え?誰?」

「私は和泉湊音くんの親友やらせてもらってる、岡田秀也っていいますー。あなたは水野雫さんでお間違いないっすか?」

「う、うん」

「みなっちなら今、『フリー』っすよ。」

「そ、それがなんなのよ!」

「じゃあ私はこれで、」

そう言って岡田は去っていった。私は心の中でガッツポーズをした。でも、なんで話したこともない人が私が和泉くんのことを好きだって分かったのかな、、


※※※


「キーンコーンカーンコーン」


「今日の授業はここまで、」


ガヤガヤ

「みなっち、一緒に帰ろーぜ!」

「おう!いいぜ!」


学校の夕焼けに染まった帰り道を秀也と歩く。なんだか、中学の頃を思い出すな、、、

俺と秀也の家は近く、昔からよく遊ぶ仲だった。そのため、中学から家の方向はほとんど同じで、よく一緒に歩きながら帰っていた。

「そういえば、水野さんにお前がフリーってこと伝えといたから。」

「は?いらない事しないでいいから」

「いやー、ちょっと水野さんとお友達の会話の中に和泉っていうワードが入ってたからさ」

「おい、べつに水野さんのことおれは好きだったと言っただけで、現在進行形で好きって訳では無いんだぞ」

「そんなこと言って、まだまだ好きなんじゃないのー?」

「そんなんじゃねえからって、何回も俺は言ってるはずだぞ」

「そーですかーはいはい」



「ただいまー」

「おかえり、弟よ」

俺には大学1年生の姉がいる。自称恋愛マスターらしい。俺が水野さんのことを好きになった時期も、直ぐに「好きな子が出来のか」と聞かれてバレた。

「高校は最近どうだ?」

「中学の友達も多いし、上手くやれてると思うよ」

「そうか、それならよかった。しかし弟よ。なんだかお前から最近モテオーラとやらが纏っておるように思えるのだが」

「それ秀也にも言われたわ」

「我が弟の運命はこの姉が応援する」

なんか最近俺応援されまくってない?

「我が弟よ、明日遊びに行かないか?」

「まぁ、予定は空いてるけど、、」

「お前がデートに誘われた時のシュミレーションとして、この姉が導く」

「ほぅ、でもそれは余計なお世話」

「全ての金をこの姉が払ってやろう、これを聞いてもか?」

「うーん、まあ暇だし、いっか」

「じゃあ決定だ」

まあ普通に楽しめばいいか、、


このとき、湊音にはこの提案が波乱となるのをまだ知らなかった


※※※


次回、姉とデートをする今日この頃

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