初恋の相手がイメチェンしていた今日この頃
御背中カイカイ
第0章 再会
第1話 初恋の相手がイメチェンしていた今日この頃(プロローグ)
本棚にそっと手を差し伸べる。すると、手と手が触れ合った。
「あ、ごめんなさい」
「いえいえ、こちらこそ」
透き通った水のような声が、俺の耳の奥に伝わった。顔を覗くとそこには美しい黒髪ロングヘアの女の子が立っていた。この瞬間、
しかし、彼女の姿は突然消えた。理由は親の転勤で東の町に転校したとかなんとか。ああ、あの彼女の後ろ姿が忘れられない。俺は彼女と初めて出会った図書室で、頭を抱えていた。
まあいっか。デブで頭ボサボサな俺にあんまり興味持ってなかった感じだし、そりゃ報われない恋だってあるよな。そう自分の頭に言い聞かせる。
「あ!そうだ!」
俺は閃いた。
「イメチェンして、水野雫を惚れさせるぞ!」
俺は心の中で決意した。
毎日の食事制限とランニングは欠かせない!
メガネをコンタクトに変えて、人生初の美容院にも行った!
そんな日々を水野さんを惚れさせるために続けた。途中で投げ出したくなった時もあったが、水野さんのことを思い出して、めげずにがんばった。
そんなこんなで時は流れ、1年後
今日は待ちに待った高校の入学式!
体重はマイナス24キロの56キロまでダウン!
ボサボサだった髪は寝癖がなくなり、爽やかに!
これならきっと、水野さんも振り向いてくれるはず!
俺は水野さんと同じ、東第一高校へ進学した。水野さんとまた一緒に学校へ通えるなんて夢みたいだ。水野さんを惚れさせて、世界で1番の幸せ者になるぞー!そんなことを俺は玄関で靴紐を結んでいる時に考えていた。
「母さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、湊音」
「俺は強いぜベイベーい♪俺はスゲーぜベイベーい♪」
俺は鼻歌を歌いながらルンルン拍子で通学路を歩いた。水野さんは、今日も可愛いのかなー。
なんだか、通学路が俺には輝いて見えた。
正門を潜るとあいつが居た。
「おはよう秀也!」
「おはよっみなっち!」
こいつは同じ中学だった岡田秀也(おかだしゅうや)。俺の親友だ。身長は俺と同じくらいで、顔はあんまりパッとしないが、友達思いの良い奴だ。
「みなっちまた痩せなかった?」
「そうかな?」
「何だかイケメンになって、俺とは遠い存在になっていく気がしてこえーよ」
「秀也とはズッ友だから安心しろって」
「みなっちー泣おめーはやっぱり優し〜よ〜泣」
「あはは、それより秀也、はやくクラス確認しに行こーぜ!」
「そうだな!」
どうか、水野さんと同じクラスになれますように!そう願っておれは手を合わせた後、クラスを確認した。
えっと、俺は〜和泉、和泉っと。おー1組か。それで、水野雫、水野、、、あった!1組だ!
「よっしゃーー!!!」
俺は思わず叫んだ。
「なんだよみなっち笑、俺と同じクラスになったのがそんなに嬉しいのか?」
「おめーじゃねーよ笑」
「うわーなんて酷いことを言うのー悲しいわー泣き泣きー」
なにわともあれ、俺は水野さんと同じクラスになれた。そして俺は、秀也と一緒に1組の教室に向かった。
1組の教室の目の前に着いた。俺はドアの前で1呼吸した。
「ふぅー、神様、どうかこれから、良い高校生活を送れますように!お願いしm」
「ちょっと、何ブツブツ言ってるのよ。通れないんだけど」
俺は急に声をかけられた。金髪で耳にピアスを開けた、典型的なギャルだった。
俺は「ごめんなさい、」と目を合わせて言った。
目を合わせた瞬間、ギャルは驚いた表情をして、教室に入っていった。なんであんな驚いた表情をしていたのだろう。
「さては、みなっち。モテ期到来かー?」
「どういうことだよ?」
「あの顔、完全にみなっちに見惚れてるように見えたぜ」
「は?俺なんかに見惚れるわけないだろ?」
「チッチッチ、分かってないなーみなっちは。俺の心が乙女だったら、おめーにもう惚れまくってるぜー。なんせみなっちは垢抜けしたんだからな!」
「知らん知らん、俺があのギャルに惚れられたって俺が好きじゃなかったら意味ありませーん。」
「ちぇー、みなっちはつれねーなー。せっかく親友の恋愛を応援しようとしてたのによー」
ふぅー。改めて、神様。よろしくお願いします!
俺は、教室のドアを開けた。
パッと見、水野雫らしき姿の人は居なかった。まあ、これから来るっしょ。俺は自分の席に掛け、水野さんのことを待った。
「久しぶりー!湊音!」
「久しぶり!川崎!」
この子は川崎桜(かわさきさくら)。小学校からの幼なじみで俺の唯一の女子の友達だ。
「湊音と隣の席って奇遇だねー。1年間よろしくね!」
「おう!」
「はいはい、皆さん席について〜」
「今日は雲ひとつない晴天の中...」
まだ水野さんは来ていない、、。校長先生の話を聞いている時もずっと水野さんのことを考えていた。
「じゃあ、1人ずつ、自己紹介をしてもらいます。1席の和泉から」
「はい。」
俺は自己紹介を言い終わったあと、ぼーっとしていた。水野さんの自己紹介は聞けないのか~。
「じゃあ次は水野。」
「はい。」
俺は驚いた。ドアの前で注意してきたギャルが、水野さんの名前で立ち上がったのだ。何してんだよ。お前は水野じゃないだろ早く座れよ。
「初めまして、水野雫です。」
「水野さん、めっちゃ変わったよね~」
「え?この水野さんって転校した水野さん?」
「そうだよ、2年の時に転校した水野さん。」
俺は川崎の言葉で頭が混乱した。あのギャルが水野さん?確か俺の知っている水野さんは、清楚系だぞ。
もしかして、水野さん、、、見ない間にギャルにイメチェンしていたー???!!!
「えええええぇぇぇぇーー!!??」
※※※
私は水野雫。いきなりだけど、今日私は運命の出会いをした。その男の名前は和泉湊音。転向する前の中学校にいた和泉湊音はガタイがいい人メガネをしたパッとしない子って印象だった。でも今日再会したらめっちゃスリムになってて髪も整えてるしイケメンになってた!!
「これが一目惚れ!いや、二目惚れってやつかー!ハッハッハッ!」
「なんか今日雫テンション高くね?」
「いや?そんなことないよーー?」
この子は鈴鹿彩(すずかあや)。この子に私は替えられた。和泉くんがいたときの中学校にいた時、私は黒髪で、ピアスなんか開けてない真面目な女子だった。でも転校して、彩に会ってから私はギャル化、つまりイメチェンしたのである。
これからの学校生活どうなる事やらー楽しみだー!
※※※
こうして初恋の相手がイメチェンしていた今日この頃、波乱の学校生活が始まったのであった。
追記
初恋の相手がイメチェンしていた今日この頃を読んで頂きありがとうございます。アドバイス等バシバシ受け付けてます!
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