油断大敵
「ひぃ~」
また地獄の特訓が始まった。
さっきまで軽く感じていた体が一気に重くなる。
でも、最初よりは安藤さんを見失うこともなくなったし、体力がついてきた。
「大会では呪文をきちんと言えるかもチェックされるから練習するよ」
「はいっ!先生!」
「先生じゃなくて安藤瑠花だってば」
「あ、そういえば呼び名決めてなかったね」
「確かに、いつも名字で呼んでる」
「私は彩葉って呼んでよ」
「了解。私は瑠花って呼んで」
「分かった!」
今までずっと「安藤さん」と呼んでいたから瑠花と呼べるか少し心配だ。
私は早速呼んでみることにした。
「瑠花!教えて」
瑠花はなんとなく照れながらも私に丁寧に教えてくれた。
「はい!まず、自分の手鏡とペンを持って」
私は言われた通り、カバンの中からケースを取り出して特別な手鏡とペンを持った。
「次にその鏡にペンで守りたいものとそれに込められた、あるいは込める想いを簡単に書く」
私は書くふりをした。
「最後に呪文に魂を込めて。『ユウシノミコト我らあそびものを守り抜け!』って言う」
「ユウシノミコト我らあそびものを守り抜け」
私は呪文を口に出す。改めて自分がトイプロのメンバーなんだって思う。
すると瑠花はグッドマークを私の前に突き出した。
「完璧」
「やった!」
「でも、今のじゃルズトイズは倒せない。きちんと自分の魂をこめないといけないんだ。そこが難しい。あと、油断は禁物だよ。いつ襲ってくるか分からないからね」
あの時もそうだ。瑠花と帰っているとき急に、何の前触れもなく、突如現れたドロドロした鳥。ルズトイズの手下。
私は鳥肌を手で押さえてうなずいた。
「じゃあ今日の練習はここまでにしよう」
「うん!じゃあね瑠花」
「じゃ、彩葉」
名前で呼び合うと何だか少し距離が縮まったように感じる。
私は特訓が終わり、呪文も教えてもらってわくわく!だけれど、気を引き締めて家に帰った。
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