### 第5話: 揺れる心
陸風と紫穂の愛が深まる中、趙恒は諦められず、
皇宮に仕官することを決意した。彼は権力を持
ち、紫穂を再び引き寄せるため、計画をめぐら
せていた。陸風が名声を手にする中、趙恒は彼
女の心を奪おうと、様々な策略を巡らせてい
た。
*
ある日、紫穂は袖を通した華やかな衣装に身を
包み、友人たちと共に宴に参加することになっ
た。その宴には多くの貴族や武道者が集まり、
趙恒もその中にいた。彼は紫穂に近づくチャン
スを狙っていた。
*
紫穂の心は、陸風への愛と趙恒への義務の狭間
で揺れ動いていた。宴が進む中、趙恒が彼女の
前に立ち、
「紫穂、私と一緒に踊りませんか?」
と誘いかけた。
*
紫穂は内心で逡巡しながらも、拒むことができ
なかった。彼女は、周囲の注目を浴びている自
分が陸風の心を傷つけてしまうのではないか、
と懸念していた。しかし、彼女は自分の心に素
直でありたいと思い、趙恒の手を取った。
*
踊りの中、紫穂の心は揺れ続けた。彼の視線は
熱く、周囲の喧騒が消え去るように感じられ
た。一方で、彼女の心の奥には陸風の存在がい
つも温かく灯っていた。彼女は趙恒の目を見つ
めながらも、陸風を思い浮かべていた。
*
その夜、紫穂は自室に戻り、舌に苦味が残るよ
うな後悔を抱えていた。
「どうして私はあのようなことをしてしまった
のか…」
と呟いた。愛と義務の狭間で苦しむ紫穂がい
る。そのとき、陸風が静かに自分の心に迫って
きた。
*
翌日、陸風は彼女に会うため、彼女の屋敷に訪
れた。紫穂は陸風の姿を見ると心が躍るが、同
時に昨日の出来事が重くのしかかってきた。
「陸風…」
「紫穂、あなたに会えて嬉しい。」
陸風は明るい笑顔を浮かべていた。しかし、紫
穂は彼の目を見ていると、申し訳なさが込み上
げてきた。
「私、昨晩…」
「そのことは気にしないでほしい。あなたの
世界は広がっている。自分に正直であってほし
い。」
陸風の言葉は優しいが、その裏にある痛みを感
じ取った。彼は自分の想いを潮流のように寄せ
たが、心の奥深くに秘めた強い誓いがあった。
*
その日、紫穂は一晩中悩み続けた。彼女は自分
の心の中で揺れ動く思いを整理し、陸風への愛
を再確認することを決めた。彼との愛は何より
も大切で、再び彼に素直にに想いを伝える
べきだと。
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