### 第5話: 揺れる心

陸風と紫穂の愛が深まる中、趙恒は諦められず、


皇宮に仕官することを決意した。彼は権力を持


ち、紫穂を再び引き寄せるため、計画をめぐら


せていた。陸風が名声を手にする中、趙恒は彼


女の心を奪おうと、様々な策略を巡らせてい


た。



ある日、紫穂は袖を通した華やかな衣装に身を


包み、友人たちと共に宴に参加することになっ


た。その宴には多くの貴族や武道者が集まり、


趙恒もその中にいた。彼は紫穂に近づくチャン


スを狙っていた。



紫穂の心は、陸風への愛と趙恒への義務の狭間


で揺れ動いていた。宴が進む中、趙恒が彼女の


前に立ち、


「紫穂、私と一緒に踊りませんか?」


と誘いかけた。



紫穂は内心で逡巡しながらも、拒むことができ


なかった。彼女は、周囲の注目を浴びている自


分が陸風の心を傷つけてしまうのではないか、


と懸念していた。しかし、彼女は自分の心に素


直でありたいと思い、趙恒の手を取った。



踊りの中、紫穂の心は揺れ続けた。彼の視線は


熱く、周囲の喧騒が消え去るように感じられ


た。一方で、彼女の心の奥には陸風の存在がい


つも温かく灯っていた。彼女は趙恒の目を見つ


めながらも、陸風を思い浮かべていた。



その夜、紫穂は自室に戻り、舌に苦味が残るよ


うな後悔を抱えていた。


「どうして私はあのようなことをしてしまった


のか…」


と呟いた。愛と義務の狭間で苦しむ紫穂がい


る。そのとき、陸風が静かに自分の心に迫って


きた。



翌日、陸風は彼女に会うため、彼女の屋敷に訪


れた。紫穂は陸風の姿を見ると心が躍るが、同


時に昨日の出来事が重くのしかかってきた。


「陸風…」


「紫穂、あなたに会えて嬉しい。」


陸風は明るい笑顔を浮かべていた。しかし、紫


穂は彼の目を見ていると、申し訳なさが込み上


げてきた。


「私、昨晩…」


「そのことは気にしないでほしい。あなたの


世界は広がっている。自分に正直であってほし


い。」


陸風の言葉は優しいが、その裏にある痛みを感


じ取った。彼は自分の想いを潮流のように寄せ


たが、心の奥深くに秘めた強い誓いがあった。



その日、紫穂は一晩中悩み続けた。彼女は自分


の心の中で揺れ動く思いを整理し、陸風への愛


を再確認することを決めた。彼との愛は何より


も大切で、再び彼に素直にに想いを伝える


べきだと。

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