### 第4話: 隠された想い

陸風の勝利は青雲城中で話題となり、紫穂の父


も彼の姿を見て驚いた。しかし依然として、彼


は陸風に好意を持たないようだった。趙恒は敗


北したが、彼は紫穂に対して未練を残し、粘り


強くアプローチを続けていた。



ある夜、紫穂は城の屋上で月を見上げ、亮《あ


かり》の光に照らされた自分の心を思い巡らせ


た。彼女の心の奥には陸風への愛が芽生え、大


きな希求があった。だが周囲の期待と父の存在


に押しつぶされそうになり、どこかぶつ切れた


感情を抱えていた。



その頃、麗しき歌声が耳に届いた。振り向く


と、そこには趙恒がいた。彼は、紫穂の前で歌


を披露し、彼女の心を揺さぶろうとしていた。


「紫穂、私の願いを聞いてください。あなたと


私の運命を信じてほしい。」


「申し訳ありません、私は…」


彼女は言葉を詰まらせた。この瞬間、心の奥底


で陸風の顔が浮かぶ。


「陸風しか見えていないのに、どうしてこうも


痛むのか…」


趙恒は、彼女の心を引き裂こうとするように近


寄った。


「私のことを振り返ることはないのか?私の愛


は純粋だ、紫穂。」


紫穂は焦りを抱えながら、彼に優しく微笑む。


「あなたの気持ちは感謝しますが、私の心は決


まっています。」


その言葉が彼女自身の心をも強くする力を与え


た。



数日後、紫穂は陸風と秘密の場所で再会し、彼


に自身の思いを伝えることを決意した。彼を思


い、心の奥から溢れ出す感情を抑えていた自分


がいた。花が咲き誇る森の中で、長い髪を揺ら


しながら待っていた彼女は、やがて彼の姿を見


つけた。



「陸風!」


彼女は手を振り、笑顔を見せた。彼はその瞬


間、紫穂の声に驚いて駆け寄り、一瞬で彼女の


心に光が差し込んだ。


「お待たせしました、紫穂。あなたのことを考


えていました。」


彼女は彼の目を見つめ、


「最近、言いたかったことがあるの。私の心は


陸風にしか向いていないの。あなたに全てを捧


げる覚悟はできているの。」


陸風の目が大きく見開かれる。


「本当に?私も、あなたへの気持ちが止まらな


い。けれど、君のために何かを成し遂げなけれ


ば…」


「この愛を大切にしたいの。相手があなたであ


ることに変わりはないから。」


紫穂は心の奥底からわき起こる言葉を伝え、二


人は互いの想いを知り、運命を共にすることへ


と決意を固めた。

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