### 第3話: 運命の試練
春の温かい日差しが降り注ぐ中、陸風は武道の
稽古に励んでいた。紫穂との再会に胸を躍らせ
ながら、彼は彼女を守るために強くならなけれ
ばならないと心に誓っていた。剣を握るその手
は、決意に満ちていた。一方、紫穂は陸風との
再会に心を躍らせる反面、彼の身分の低さを気
にしていた。父の決断を覆すことは簡単ではな
いが、陸風のために何かできることがあれば
と、彼女は思案を巡らせていた。彼との恋愛が
公に認められることは非常に難しいが、心は彼
に寄り添っていた。
*
ある日、紫穂は城の広間で父と話をしている
と、別の貴族が来て彼女を求愛した。貴族の名
は趙恒(ちょうこう)で、彼は有力な家門の嫡
子であり、紫穂の父は彼との結婚を強く望んで
いるようだった。
「紫穂、趙恒は良い縁談だ。お前も分かってい
るだろう?」
父が言うと、紫穂は動揺した。
「でも…その方は…」
「その方は立派な家柄だ、そしてお前に相応し
い男だ。」
父の言葉は厳格で、彼女は何も反論できなかっ
た。趙恒は紫穂に好意を持ち、彼女の美しさに
うっとりとした目を向けた。
*
一方、陸風は友人たちから趙恒による求婚の噂
を聞いた。心中に怒りと焦りが彼を襲い、自分
は紫穂にふさわしくない存在なのかと悩んだ。
しかし彼は、この状況を打破するために力をつ
けようと決心した。
*
数日後、武道大会が開かれることになった。こ
の大会は、王の前で行われ、勝者には名声と共
に大きな報酬が与えられる。陸風はこの機会を
逃さず、紫穂の父の目に留まることができればと
思い、参加することを決意する。
*
大会の日、城の広場は人々で賑わい、盛大な祭
りのような雰囲気が漂っていた。紫穂は人混み
の中、陸風の姿を見つけた。彼は真剣な表情
で、剣を握りしめていた。心臓が高鳴る中、紫
穂は応援するために彼の近くへ行った。
*
試合が進むにつれ、陸風は次々と強敵を倒して
いく。彼の動きは華麗で、その剣の舞はまるで
流れる水のようだった。紫穂は彼の姿に目を奪
われ、胸が高鳴った。
*
陸風は決勝戦まで進み、最後の相手は趙恒だっ
た。紫穂は彼の戦いを見つめながら、心の中で
祈った。
「どうか、陸風が勝って…私たちの愛を証明し
てほしい。」
戦いが始まり、二人の剣が激しく交わった。陸
風の技術は冴え渡り、趙恒も負けじと応戦す
る。観客の声援が響く中、紫穂は真剣な眼差し
で見守った。彼の勇気が、彼女の心に火を灯し
た。
*
最高潮の瞬間、陸風は一閃の剣を放ち、趙恒を
打ち倒した。歓声が上がる中、彼は勝者として
立ち上がった。紫穂は涙をこらえきれず、喜びに
満ちた心を抱えながら彼に向かって駆け寄っ
た。
「よくやったわ!陸風!」
共に手を取り合い、二人の絆はますます強くな
っていった。その夜、紫穂は陸風にこう告げ
た。
「どんなことがあっても、私たちの運命の愛を
信じているわ。」
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